カナダ・マニトバ州ウィニペグで不動産投資の夢を追ってみる。その3
カナダ・マニトバ州ウィニペグで2軒目の家を買うに当たって、
「一軒目を買ったことがあるからだいたいわかるし、一軒目を買ったときなんか私はまだ学生で妻しか所得がなく、永住権もない状態だったのに購入できたわけだから、共働きになった今、頭金も昔より貯まったし二軒目のほうが買いやすいんじゃないの?クレジットヒストリーもしっかりしているから余裕でしょ?」なんて思っていました。
ほんと、数か月前の自分をぶん殴りたいですw。
全然、余裕じゃないですし、一件目の倍くらい大変じゃないですか!
でも、ストレスや数多くの苦難を乗り越えて、ようやく買えたんですよ(パチパチパチ!)
お客様のプライバシーに関わるところがあるため、リアルタイムで家購入のプロセスを発信できませんでしたが、ウィニペグに移住する日本人のかたに少しでもお役に立てて夢が一つ叶った経験となりました。感謝です。
書ける範囲で次回以降そのことについても書いていこうと思いますが、
今回のブログ記事では『家を買うというプロセス』をまずはおさらいしていきたいと思います。
家を買うプロセスってなんとなく……、
1,ネットの住宅市場に出ている物件を探し始めると同時にリアルター(不動産仲介人)を探す。
2,気に入った物件を見つけたらその都度リアルターにお願いして内覧させてもらう。
3,買いたいと思ったらすぐに申し込む(以下、オファーする)
4,住宅ローン(以下、モーゲージ)のプロフェッショナル(以下、モーゲージ担当)に、その買いたい家に対するモーゲージを組んでくれる金融機関(銀行や信用組合など)を探してもらい、モーゲージのプレアプルーバル(以下、事前承認)を得る。
5,モーゲージの事前承認が得られても、もし複数人のオファーがある場合、入札で競り勝った人が物件を買える。
という流れだと思っていたのです。一軒目がそんな感じでしたからね。
今回まず苦しんだのは、リアルターを探す前に、モーゲージ担当を探して「いくらまで借りられるのか、借りるにあたってどのような条件があるのか」などをあらかじめ聞いておく必要があったのにしていなかったところです。
せっかく良い家や部屋を探してオファーをしようとしたら、金融機関がその価格帯を貸せないとその時にわかり(←今回の件)無駄働きをさせてしまったリアルターに申し訳ないし、期待に胸を膨らませた私たちもバカみたいでした、って実際バカでしたw。
ちなみに、物件を買う側の人はリアルターにいくら支払うか知っていますか?
正解は『支払う必要はありません』
リアルターは売買を成立させることで【物件を売る側から報酬が支払われる】のです。
モーゲージ担当への支払いについても、モーゲージが成立することで【金融機関から報酬が支払われる】ため、物件を買う側の人が手数料などを支払う必要はありません。
「え?、モーゲージ担当ってあんなに金融機関と交渉してくれたり、面倒くさい書類を一緒に作成してくれたりして無料なの?じゃあ、直接銀行に行って、散々待たされて嫌な思いをした私のモーゲージ手続きの経験は何だったのよ。タダで楽ができるなら初めから頼んでおけばよかった」と以前、知り合いが話していたのを思い出します。
Eメールの添付書類ベースで書類をやり取りできるため(書類のスキャンが必要ですのでプリンターが必須かな)、だいぶ手間と時間の節約になりました。感謝しかありません。
しかも、ウィニペグには日本人のモーゲージプロフェッショナルがいます。
ウィニペグ在住の人ならすでにご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、Kwangja “Koko” Chunさんこと広子さんです。
UTMOST FINANCIAL INCに在職されております。新しい家を買う時以外でも、更新の時などでもモーゲージの見直しで相談でき、レートが安くなるなんてこともあります。
どんな些細な質問でも日本語で気さくに答えてくださいます。例えばモーゲージブローカーとモーゲージプロフェッショナルの違いを以前聞いたことがあります。モーゲージブローカーと名乗れる人は自分でその事務所を経営しているということで、経営はしていないけどどこかの事務所に在職してモーゲージの仕事ができる人(パラリーガルみたいな感じ?)がモーゲージプロフェッショナルなんですって。
ほかにも、どうやってモーゲージの審査がされるのかを教えてもらいました。審査において最も重要なのは、収入の安定性と借入の返済能力だそうで、タックスリターンの2年分の書類が必要だった理由がわかりました。
GDS(住宅費比率)とTDS(総負債比率)の計算に基づいて審査されるという難しい話になるので簡単に説明しますと、例えば、月々の収入に対する負債・返済額を見て「この収入でこんだけの支出があるんじゃ貸すのにはリスクがあるわい」と判断されてしまったら、借りられないか、もしくは借り手側が買いたいと思っている家の価格に届かない上限のお金しか借りられないということがあるのです。
わかりづらかったかもしれませんので、我が家の例を挙げてみましょう。(あくまでも2025年4月~6月現在で)
例えば、350,000カナダドル以内の一軒家を買いたいと思い、頭金20%(7万ドル)を苦労して貯金してきました。
充分な頭金を持っているのだからすんなり買えるだろうと思っていたら、私が昨年レイオフされてしまったため、収入が乏しくなったことにより総負債比率が高くなったことで「350,000ドルの事前承認は出ません」と言われてしまってショックでした。
今年から今働いているところに転職して給与も上がって毎月の貯蓄額も増えたにも関わらず、妻と合わせた昨年の収入が低かったため(同時に今住んでいる一軒家のモーゲージもまだ残っているため)、「249,000ドルまでの物件を買うのでしたら事前承認が出せます」といわれてしまう始末。
しかし、広子さんに交渉していただき、【条件】付きで上限300,000ドルまでの物件を買う事前承認を得られました。もう、感謝しかありません。(【条件】については後述しています)
この事前承認(プレアプルーバル)の書類をリアルターに見せるとリアルターは安心して仕事をしてくれます。
ウィニペグでは日本人のリアルターがいないため、ウィニペグで物件を購入した日本人の方から「この人はいつ寝ているんだろうというくらいよく働いてくれるよ」というお勧めのリアルター「John Huverさん(以下、ジョンさん)」を紹介してもらいました。
ジョンさんはバイタリティーに溢れて、手続きが早く、物件の知識が豊富で『買ってはダメな物件』をつかませない優しさがあります。(英語が早口ですけどねw)
この物件を売れば報酬が入るだろうに「この壁のヒビの大きさとベースメントの浸水痕を見る限り、ここはやめたほうがよい」とアドバイスしてくれた時には感謝と感動しました。
何軒かジョンさんと一緒に巡りながら物件をみていると、
「あれ?昔は300,000ドルだったら結構良い家を買えたのに、今じゃこの程度なんだ」とガッカリするスペックの物件ばかりで、リフォームするにも厳しそうな傷みかたをしている家もありました。今住んでいる家を買えたことは本当にラッキーだったなと実感します。
一軒目に家を購入したときはなぜあんなにスムーズに買えたんだろうとモーゲージ担当に聞いたところ、ファーストハウスを買う際には、金融機関側が収入履歴を審査しないとか、条件がゆるかったからだそうです。
二軒目ともなれば一軒目のモーゲージも残っていますから、一軒目を買う時とは厳しさが違うというわけなのです。しかも不動産投資用のモーゲージとなると、部屋を借りてくれる人がいなくなるいわゆる空室リスクがあるため、審査基準が厳しくなるのだとか。
金融機関から二件目の一軒家購入のモーゲージの事前承認を受けるための【条件】として、変更が出たらすぐに届けて古い情報をそのままにしないこと、各種書類をすべて提出すること、不動産鑑定士の承認などが必要でした。
さて、この不動産鑑定士(Appraiser=賃貸市場鑑定士ともいう)って聞いたことがありますか?
インスペクター(建物の状態を検査する人)とはまったく違うんです。
アプライザー(不動産鑑定士)とは、この物件がいくらで貸せて、将来いくらで売れるかなど不動産の市場価値を客観的に査定する人で、金融機関が「その物件が担保として充分な価値があるか」を確認するため、金融機関が不動産鑑定士を現地に派遣します。(売り手側のリアルターにカギをあけてもらい鑑定士が評価するので買い手側は特に同行する必要はありません)
物件によって違いますが、350ドルから600ドルの調査手数料が必要となります。たとえ築浅できれいな物件でも、誰かに貸す予定の投資目的でモーゲージの審査を受ける場合は原則として鑑定が必要となってきます。(インスペクションは任意だから頼まなくてもいいけど、不動産鑑定士は頼まないとダメということ。繰り返しになりますが初めての家購入や自分が住む家の場合は頼まなくてよい)
これらの条件が嫌だから、今まで自分が住んでいた物件を投資用にして新しく住む物件を自分たちが住む様にするパターンが多いのでしょう。投資用物件はモーゲージの金利も若干高いですしね。
一軒家で300,000ドルの物件を投資用として貸す場合、月々1600ドル以上の家賃設定も勧められました。
急に、「日本から将来ウィニペグにくるであろうご家族がいきなり家賃1600ドル以上の一軒家を選ぶだろうか」と不安になりました。
しかも「まだ慣れない生活において、雪かきや芝刈り作業を入居者さんに強いることになってしまうのはどうなんだろう?」と一軒家購入に対するモチベーションが下がってきてしまったのです。
そこで、コンドミニアム(アパートやマンションなどの集合住宅)だったら一軒家より比較的安く買えて、しかも雪かきも芝刈りも必要なしですから、今度はジョンさんにお願いして販売中のコンドの最新情報をメールで送ってもらえるようにしてもらいました。
プレアプルーバルも一軒家購入用だったため、モーゲージ担当の広子さんにお願いしてコンド用のプレアプルーバルを出してもらうことにしました。
モーゲージ以外に建物管理会社へ共益費を毎月支払わなければならないため、プレアプルーバルの上限は一軒家の時の300,000ドルより厳しくなり、265,000ドル以内のコンドの物件の購入が上限となってしまいました。コンドを投資用物件として買う場合、私たち夫婦の収入では条件がさらに厳しくなり、頭金の増額や、コンドフィー(共益費)が500ドルを超えないこと、プロパティタックスが年間2,500ドルに達しないこと、家賃は1400ドル以上に設定することなどが【条件】として加わります。
つまり、コンドで気に入った物件を見つけたとしても1か月の共益費が500ドルを超えてしまっている物件は自動的に買えないというフィルターができてしまったのです。
これらの条件はおそらく事前承認をお願いしている金融機関によって違ってくるかと思いますし、先ほど書きましたが私の昨年の収入が少なかったためこのような状態になっていますので条件自体が付かない人もいることでしょう。
最後に、条件もさることながら、不動産投資物件を買うに至る【前提】というのがあるような気がします。
私の家族の場合、
・私と妻が共働きで頭金を貯めて、物件購入を共同名義にすることでようやくスタートラインに立てるという現実。
・チャイルドベネフィット(児童手当)がまだもらえているから何とか生活のキャッシュフローが安定している現状。
・永住権保持者だった。(なぜか永住権保持者か市民権を持っているかとオファーするたびに確認されたということは、投資用物件の場合はPR保持者かカナダ市民でないと買えないのかもしれません。←あなたが買う時に要確認)
・クレジットヒストリーがしっかりしていること(我が家は大丈夫ですが、多重債務や延滞・滞納がないのが望ましい)
・頭金とクロージング(手続き終了プロセス)に関わる合計金額(例えば7万~8万ドル)の残高が銀行にあり、かつ向こう3か月で急な大金の動きが無い取引明細のコピーをモーゲージ担当に渡せること。(例えば急に3万ドルを入れた履歴が金融機関から事前承認をもらう3か月以内にあったらその入金の理由を証明しなければならなくなります)
などが必要となっていたのです。参考になれば幸いです。
2軒目を買うって本当に大変なんだということが、上記の【条件や前提】で伝わっていると嬉しいです。
今回もカナダ・マニトバ州ウィニペグでの不動産投資に関わる小ネタや貴重だと思われる情報をちりばめたつもりですがいかがでしたでしょうか?
さて次回のブログ記事では、買いたいとオファーして何度もダメだった経験や、何とか物件を見付けてオファーが通ったところまでを書き、次々回にはクロージングのプロセスを弁護士とした経験について書いてみようと思っています。
それでは、また。
P.S. 新しく購入した1ベッドルームの新築コンドミニアムの詳細はこちらです。
もし、8月1日から入居したいとか、入居先を探している方を知っていましたらご紹介ください。