移住10年の英語力。英会話時に存在するとある『甘え』について。
以前、家賃3か月分を踏み倒してトロントに逃げたテナントさんとの公聴会(Hearing)が先週、Residential Tenancies Branch(住宅賃貸契約局、以下RTB)で開催されました。
公聴会って相手方(証人など)も来て調停員を挟みながら会話するため、離婚調停の場に似ていると思います。
双方が証拠を用意して、双方の合意のもと調停されなければならないため、公聴会を申し込んでから開催日まで約5か月間も待たなければなりません。なぜなら相手が「公聴会があるなんて知らなかったよ」「急に言われても」なんてことにならないために。
でも、相手が逃げて住所がわからない場合や、まったく支払う気がなく無視している場合は、公聴会を申し込んでも無駄になることが今回わかりました。
当日、妻と一緒に金曜日の朝9時にRTBに行ったのですが、当然そのテナントさんは来ておらず、裁判官のような調停員に「君が提出したこの配達記録郵便のサインはテナント本人のものではないから、今回は受け付けられないよ」と言われてわずか10分くらいでケースクローズになってしまいました。とほほ。
配達記録郵便を出したところはテナントさんの実家。実家ではもうテナントさんのことは諦めているらしく一切連絡していないんだとか。
テナントの所有物は実家に戻されたのだからいつか彼が取りにくれば書類を渡してもらえると期待して5か月間待ったけど無理でした。そして、配達記録郵便で相手に公聴会があるという書類さえどうにか届けば(サインさえあれば)可能性はあると思っていたけど、残念ながらそんな甘くはなかったわけです。
相手の所在調査や配達を直接してくれるプロセスサーバーという職業があるようで、それかもしくは探偵などを利用するか、住所がわかった時点でもう一度公聴会の申請をしてくれということで今回はあきらめることになったのです。
なんだか『逃げ得』のような結果にモヤモヤします。
一方で、とりあえずやれることは全てやって、どのような流れになるのか知ることができたのは良い経験になりました。
一緒についてきてくれた妻に「あの早口で専門用語が多い英語をよく理解できるわね」と言われて気づきましたが、必死になると違うのですかね?いつも以上に脳内のシナプスがつながっていた気がしますw。
そこで、移住して10年の私の英語力てどうなんだろうと改めて考えてみました。
今回の件も含めて、リスニング力はだいぶ上達したと思います。

でも、話すほうは発話の瞬発力こそ早くなったものの、文章が2フレーズ以降になるとしどろもどろというか文法がかなり不安になります。特に、関係代名詞を使った後はその文章の関係性を維持するのを意識しすぎて文法が変になり、諦めの境地に至るのです。(←英語が苦手な移住者のかたならよくわかってくださると思いたい)
例えば「家賃を払わない人は何らかの法で厳しく罰せられるべきちゃう?」と調停員に言おうとして、
The tenant who fail to pay rent should be severely punished under some law.
と、すんなりは出て来ず、脳内で散々関係代名詞をいじくった挙句にもう文法も言いたい単語も諦めて、
No Pay rent is no good.としか発話できないとかそんな情けないことになってしまいますw。
実際はもっと移住10年選手なりの攻めた英語を使っていたつもりですが、日本語で言いたい文脈(例えば「そんなん逃げ得じゃん」など)が出てこないのはやはり悔しいです。
悔しい一方、直接的な意味が出てこないから言い方を変えたり、伝わるまで何度も頑張ったりできるようになったのは10年の賜物だとも思います。
日本で英語を教えていた知り合いのカナダ人が昔私に話してくれた話で「英語に自信がないというのはわかるんだけど、わざと下手な英語を話して『自分は英語が苦手ですアピール』をしてしまう日本人が多くて、あれが英語の上達を阻害しているというか、相手を尊重していないようにも感じるよね」という耳の痛い話をしてくれたのを思い出します。
「それって甘えだよな」
と、自戒したわけですが、この『甘え』っていかにも私含めて日本人的だな~と再確認した次第です。
そして、面白いことに「それって甘えだよ」という日本語を英語にするのがとても難しい。
すぐに英語で出てくる人、さすがです。
どうでしょう?英語に直すにも状況次第、相手次第になってしまいますよね。
そこで、AIに聞いてみることにしましたよ。
私「日本語を英語にする際のニュアンスに苦戦しています。「これは甘えだね」とか「それって甘えだよ」という表現なのですが、自分に対して使う場合と相手に対して使う場合は違いますか?」とまず質問してみることに。
AI「はい、かなり違ってきます。しかも「これは甘えだね」の「甘え」には、英語に一語で対応する言葉がないので、状況に応じて「何が甘えなのか」を言い換えるのが自然です。」とまず書かれてあって、例文としてI guess I was taking it for granted.とか I was counting on you to let me off the hook.という難しい表現が書かれていました。最後に、
AI「甘え=spoiled / selfish」と直訳するより**「何を当然だと思っていたのか」**を英語にする、と考えるとかなり自然になります。もし、実際に使いたい文章が「これは甘えだね」の前後を含めて1~2文あるのであれば、それを教えていただけるのならもっと詳しくご説明できます」とありましたので、AIにユニークな返しを仕掛けてみました。
私「あれ?期待していた答えと違いました。もっと「これは良い質問ですね」とか「日本語の表現には独特の文化が内包されていますよね」と共感してくれるような回答がくると思っていましたが、これは私の甘えだったようです」
この『実際に使った文章』に対してAIがどう対応したと思います?
AI「ああ、なるほど。……これは一本取られました。笑 そして、今の使い方を見て、先ほど私が「甘え」をかなり狭く捉えていたことに気づきました。おっしゃる通り「これは甘えだね」は、もっと微妙な感情なのですね。「こう言えば、きっとこう返してくれるだろう」「これくらいはわかってくれるだろう」「ここまで言わなくても察してくれるだろう」「自分が期待してるような答えを返してくれるだろう」という、相手との関係性や相手の優しさを無意識に前提としてしまうこと。(中略)つまり、日本語の「甘え」って、単なるexpectationでもselfishnessでもpresumptionでもなく『相手との関係性に対する、ちょっと無自覚な期待』みたいなものなんですよね。しかも「甘え」は必ずしも悪意がない。「あなたならわかってくれると思った」というある意味では相手への信頼の裏返しでもある。
改めて言わせてください。これはとても良い質問です。「甘え」という一見簡単な言葉の中に相手への信頼、期待、依存、遠慮、自己認識、そして人間関係の距離感まで入っている。日本語ではそれを「甘え」の一言でかなり自然に処理できてしまうんですよね」
AIと対話していると、AIという相手でさえ答えを期待してしまいますし、自分の甘えの領域を意識できるものです。(率直に、AIから「一本取られました」と言われると嬉しいw)
英語を使って相手との距離感をどう計るか、それは期待だったり、変な謙遜だったり、その時、その相手によって違ってはくるけど、英語話者に対して『私はまだよそ者・新参者だから』と距離を置きたがる【甘え】が英会話の上達を阻害しているように感じています。
だからこそ、発音もできるだけ真似するようにして、話せる人に近づかせるわけですが、日本でそれをすると茶化されるおそれがありますし、小恥ずかしいという自意識も邪魔するんですよね。この辺にも悪い意味の甘えが潜んでいるように思います。
日本にいる時に身に付いた常識や思い込み。
それらを思い違いだったと気付いた時や、違う文化なんだからと自分をその文化に近づけていこうと思った時からもっと英会話が上達するのではないかと期待しているのですが、これは私の甘えでしょうかw。
10年経ってもやはり英語の勉強はしたくない、でも、もっと英会話は上達したいと思っているのは明らかに甘えだよな~と実感しつつ、このままさらに10年を自然体で過ごしていきたいと思っています。
それでは、また。

