Compassionate care leaveって知っていますか?

今週、マニトバ州ウィニペグはマイナス30度、体感気温マイナス40度の日があり、寒さのピークを迎えました。週間予報ではもうマイナス20度台がないのでおそらくこれから段々気温が上がっていくことでしょう。でもあと2か月は寒いですけどね。

さて、前回のブログ記事の続報です。

前回のブログでは「1か月の一時帰国のためのチケットをとって、勤め先に休み申請をしようとしたら、HR(人事)から退職を勧められて、再雇用も絶望な状態のため、日本からカナダに戻ったら失業者になってしまう」という流れになっていることを書いたところ、多くの人に心配と励ましの言葉をいただきました。ありがとうございました。

中には「職を紹介する」とおっしゃってくださる方がいらして、感謝しかありません。

職場の人たちも「辞職手続きのフォームを出すんだって?何とかなんないのかい?」と心配してくれて、上司にまで対処をお願いしてくれる人もいました。

上司のさらに上司、統括マネージャーのマークに対処をお願いしているわけなのですが、なかなか進展がありません。

ランチ時にマークを見つけたので再度、直談判をしてみました。

「ごめん、忙しくて人事に行っていなかった。このあと行くけど、もう一度詳しく教えて?1か月休みをとるってことは聞いたけど、理由を詳しく聞いていなかったね」

この時、マークがまだ人事に行っていなくてよかったと思えることが起こったのです。

 

話はさかのぼりますが、1か月休みをとったら辞めなければならず、再雇用もされないと分かった時点で、実家に連絡していました。日本に1か月帰国するから仕事を失うことになったのではと父は心配し始めて、以前から父が勧めてくれていた「親の体調が悪いから」という理由(←本当はそこそこ元気)を使う時が来たのではないかという話の流れになったのです。

つまり「80歳になった父を介護するために家族で一時帰国する」という理由をマークに話すことにしたのでした。

マークは急にテンションが高くなりました。

「ああ!それならコンパショネイト・ケア・リーブが使えるよ!」

彼にとっては『人事に交渉しやすくなるカードを手に入れた』ような喜びなわけです。

Compassionate care leave もしくは Compassionate leave とは何だと思います?

Compassionは「思いやり」leaveは「休暇」だっけな?

 

Compassionate care leaveは「温情的介護休暇」などと呼ばれていて、マニトバ州のHPによると

「同じ雇用主のもとで 90 日以上働いた従業員が、家族に深刻な病状や、今後 26 週間以内に重大な死亡リスクがある場合に最大28週間まで会社に申請できる無給休暇です。申請にはケアとサポートが必要であることを示す医師の証明書を提出する必要があります」と書いてあります。

人事に行って帰ってきたマークは、上記の規定を説明してくれて、さらに、前回渡していた辞職申請書を私に返却してくれたうえで、休暇願のフォームを持ってきてくれたのでした。

休暇願フォームには「Bereavement Leave(忌引き)」や「Family Leave(家族休暇)」「Maternity Leave(出産休暇)」「Jury Leave(陪審員休暇)」などが書いてありますが、Othersのところにチェックマークを入れて「Compassionate care leave」と記入することを教えてくれました。

つまり、この時点で辞職する流れから一転して、休暇を申請する方向に変わっているのです!(嬉)

ありがとうマーク、理由をあの時私に聞きなおしてくれて……。そして、コンパッショネイトケアリーブ(長いので以下『コンケア』とします)の存在を思い出して、教えてくれて。(←私がユニオン(労働組合)に相談した時にユニオン職員が知っていればよかったのにね)

しかしながら、これで安心というわけにはいきません。

このコンケアの申請には『医師からの診断書などメディカルドキュメントが添付されなければならない』ため、会社から申請が承認されるまで気が抜けません。

【医師からの証明書とはどのような書類が証明となるのか、そしてどのように書類にまとめて提出するのかがわからない】という問題が立ちはだかるのです。

例えば、父がガンに罹っているとして、癌だという診断書を医師からもらってこなければならない場合、考えただけでも難しいですよね。

1,父がガンだと家族と医者しか知らない場合は(本人に気づかれずに)診断書を発行してもらうことができるのか?

2,たとえ発行してくれるとなった場合に、英文で発行してくれるのか?発行まで何日かかるのか?

3,発行してもらった場合、家族の誰が私に、どのようにその診断書を送ってくれるのか?

父が自分が癌だとこの時点で気づくことになったらショックですよね。さらに高齢の父しか日本からカナダに診断書を送れないとしたら、発行からカナダに郵送して到着するまでどれくらいの日数がかかるのかがわからないだけに、申請に間に合わないということもありえます。つまり、英文で病気の診断書を添付して申請しなければならないならば無理があるというか、思いやりのない申請の仕方だと思うのです。

英文の証明書が必要なのかなどをマークに聞いたけど「Certain Document(確かな書類)」というだけでよくわかっていませんでした。そこで人事に直接聞きに行こうと思ったのですが、例えば「英文の診断書が必要」と明言されてしまったら逃げ道がなくなるため、まずは自分で対処してみて、それがダメだったらいわれた通りにしようと考えました。幸いまだ1か月近くありますからね。(←休暇願は早めに提出しましょう!)

ここからは日本の実家との連携プレーとなります。

まず父に、医師の診断書やそれに準ずる書類があるか聞いてみました。

次に兄へ「親父の写真を撮って、さらに親父が探してくれている医療書類をスキャンして送ってください」とお願いします。

二人とも忙しいのに、すぐに用意してくれました。ありがたいです。

しかも、父は入院患者のような恰好をして弱々しい感じで写真に写ってくれていて、ある意味ノリノリでしたw。

おそらく兄が父を撮ってくれている時に「もっと死にそうな顔したほうが和広(←私)の申請が通りやすくなるかもよ」という配慮があったのかと想像できます。

私たち家族のケースですので参考になるかわかりませんが、

1,死にそうな親が本当に存在しているんだという証明写真。

2,直近の血液検査の結果

3,診察予約券(例えば、循環器科に3月12日、胃検査は3月15日などのリストが羅列されている用紙)

以上、3点をメールで送ってもらい、ワードに張り付けて独自のフォームを作ったのでした。

****以下、参考例****

Compassionate care leave

I wish to apply for the compassionate leave for a month from 3/〇〇 – 4/〇〇, 2023.
I will come back to work 4/●●, 2023.

Detail of the family member
×××× Aoki (Age 80) Kazuhiro’s father
Address △△△, Tokyo, Japan

Reason
×××× Aoki has many illnesses such as irregular pulse, pituitary hypertrophy and rheumatism.
Recently he has been getting weaker because he is hard to walk by rheumatoid arthritis.
I would like to renovate his house and take care of his quality of life.

I can provide the proof of the medical documents from the hospitals.

One of the hospital’s name is “〇●×△”.  This shows the proof of rheumatoid arthritis.

****とりあえずここまで****

上記の文章の下には血液検査の写真と、次に別の医療機関から発行された診察予約のリスト表を添付しました。

父の名前と年齢の右横に、例の死にかけている写真wを貼り付けました。

病院名は改めて英語に直して書いたほうが良いと思います。病院からの書類はすべて日本語ですが、ワードの図形アイコンで矢印や丸で囲む方法を使って例えば、(循環器科)←Cardiologyと英語で注釈としていくのです。

今ではアプリによってスマホをかざせば勝手に翻訳してくれる機能もあるわけですから、嘘をつけませんし、相手も調べることができることでしょう。ですから、英文の診断書などいらないのではないかという判断のもと、自分で写真に注釈を加えるという形で仕上げていったのです。

 

ここまでやりきって、人事(HR)に提出したところ、

 

今週の火曜日に見事に承認されました!

やった~!!

これで無事に同じ職場に戻ってこれることになりました。心配してくださった皆様、本当にありがとうございます。

あの死臭が漂ってきそうな写真(←段々表現が酷くなっているw)が効果的だったのかな?

いずれにしても、英文の診断書でなくても大丈夫だったということがわかりました。この事例は、この職場だからかもしれませんし、そもそもコンケアことCompassionate care leave制度がない会社もあることでしょう。もしカナダで働かれていて、長い休暇を取ることがありましたらこのブログが参考程度になれば幸いです。

次にもし私たち夫婦が長期休暇をとるときは、コンケアなど特別な申請の必要のない3週間までにしたいと考えています。今回、約1か月間一時帰国する航空券を買ってしまったからここまで面倒くさくなってしまいました。父親が80歳だったからうまくコンケアが適応されたけど、職を失うところだったので危なかった~。この一時帰国を機に父の手伝いや親孝行をたくさんし、さらに長生きしてもらいたいと思います。

我が家にしてみれば失業と再就職がかかっていた事件なわけですが、意外と上司(マーク)にしても、人事にしてものんびりしていて反応が遅いのが、カナダあるあるだと感じましたよ。ビザの手続きでもそうでしたが、やきもきさせるのですよねw。

それと、以前にもブログで書きましたが、すぐに自己完結して諦めずに、違う方法を探したり、自分から直接に何度も聞きにいったりして、やるべきことはすべてするような図々しさや行動力が必要だとやはり実感しました。

これで一時帰国での憂いがなくなって、3月に入り、ゆっくりと行くまでの準備を整えていきたいと思います。

あなたにとっても素敵な3月となりますように……。

それでは、また。

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Compassionate care leaveって知っていますか?” に対して2件のコメントがあります。

  1. ちい より:

    前回のブログを見て、大丈夫かなぁと心配していました。本当に良かったです!
    自分一人ならどうにかなるか、と思いますが、家族がいたらそうは言ってられないですよね。
    私は40代で娘を連れてカナダに公立カレッジに通う予定で準備を進めていますが、
    予想外の書類が必要になったりで、心が折れかけていました。
    しかし自己完結して諦めるのではなく、何でもダメもとの精神でいることが大切だと、Boruさんの記事を見て思いました。

    ちょっと疑問に思ったのですが、無職になってもまた戻ってから仕事を探せばいいや、
    と前回のブログでおっしゃっていたのですが、仕事は選ばなければ何かしら見つかる感じですか。
    私は氷河期に大学卒業で、仕事を辞めると後がないかもしれない、という考えが
    しみついていてすごく躊躇するのですが、その辺りはカナダはあまり気にならないのかな、と思いました。

    今まではブログを読むだけだったのですが、本当に良かったと思って、コメントさせていただきました。これからも更新を楽しみにしています!

    1. borusun より:

      ちいさん、コメントありがとうございます。
      カナダに親子留学なのですね。楽しみと同時に不安ですよね。学生ビザが発行されるまで予想外に待たされることがありますので、航空機のチケットを買う時は日程の余裕を持って買うことをお勧めします。
      州によって違うかもしれませんが、職は何かしらあるかと思います。まったく募集しなくなった職種があるかと思ったら、常に急募している職種もありますからね。
      ちいさんご家族の移住がうまくいきますように。

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