被害者意識、当事者意識、そして加害者意識について

昨日はマイナス18くらいになり、大雪が降りました。

せっかく雪がなくなったと思ったら再び一面が銀世界。

このような日に外に出なくて済むのはありがたいことです。

うちから少し離れた家のジムさんが手押し除雪車でわざわざうちまで除雪してくれました。子ども達も窓から手を振って、感謝をしましたよ。


さて、今日4月4日のマニトバ州の感染者数は194人になったと発表がありました。日本もウィニペグも感染者が増加してきていますね。

最近のニュースで取り上げられているニューヨークのエルムハーストの病院での惨状。

私は19年前に駐在員としてエルムハーストのすぐ近くに住んでいまして、その年はちょうど9.11のテロがあった年でした。

あの日の思い出を書きたいと思います。

あの日の朝、車で会社まで通勤途中に「航空機がワールドトレードセンタービルに突っ込んだ」という速報がカーラジオから流れました。マンハッタン島のほうへ目を向けると、映画の撮影かと思うくらいの黒い煙がモクモクと上がっています。

あっという間に交通規制され、その時なぜかはわからなかったのですが、イスラム教関係の施設・寺院にはバリケードが設けられ、献血を呼びかける場所や、行方不明者を探す掲示板が張り出されました。本当にあっという間の非常事態宣言状態になったのでした。

私は急遽仕事でマンハッタンに入らなければならなかったので地下鉄に乗り、仕事を終えるとすでにツインタワーは倒壊していました。親は心配してすぐに日本から国際電話をかけて無事を確認してくれましたが、社員の兄弟がこの事件で亡くなったことを知ったときは衝撃を受けました。

仕事が終わってからグランドゼロ方面に歩いていくと、すごい人だかりです。バリケードがあって入れないのですが、重機が瓦礫を処理しているのがわかります。

現場は常にホコリっぽく、洗浄液のようなにおいと何かが燃えたにおいとで、それらは小学校の裏庭の焼却炉から煙が体育館に入ってきて、同時に体育館倉庫に入った際のすえた臭いのマットや跳び箱などのホコリ臭さと混じったようなにおいでした。

何かボランティアができないだろうかと思っていたのですが、日本の赤十字さえも断られて、多くの善意の人々が門前払いされていました。

なぜなら瓦礫がまだ降ってくる可能性があり、次のテロの危険性もあり、二次災害がいつ起こるかわからない状況で、さらにボランティアでケガした人が出たら誰がどのように責任を持つかという問題もあり、現場のプロフェッショナルに任せるしかないという状況だったからです。

あの時もマンハッタンのほとんどの病院が満杯になっていたと思います。

マンハッタンからクイーンズに地下鉄で戻ろうと駅に入ると、ある女性が急に、悲鳴をあげて走り出してるのが見えます。それにつられて他の人も走り出し、集団ヒステリー状態に……。

過呼吸状態になって倒れこんでいる最初に走り出した女性が指をさしていたのは、地下鉄駅構内の大きな排気口のファンが回っている部分。地下鉄が近くを通るとファンが回るのでしょうか、あの鉄が軋むような音で「テロが自分の近くに起きている」と勘違いしたようなのです。

誰もが一瞬で死ぬ。

いつどこで次が起きてもおかしくない状態。

二次災害もありうる。

これらを実感させられる出来事が立て続けに起こると、その被害者たちの人生観に大きな影響を与えるような気がします。これは東日本大震災もそうですし、今回の新型コロナウイルスの件も同じことが言えます。

様々な被害を実際に受けることで、被害者意識(どうして私だけが、あいつ・あれが悪いんだ)を自分でどう受け止めて、どのように当事者意識(にもかかわらずどうするか)にしていくかを問われているように感じます。

テロの場合、首謀者がいるため、被害者意識は相手を倒すことで解決しますが、相手を倒すのはたいてい国の軍事力や法律なので、当事者意識は薄くなることでしょう。

一方で、相手が天災だったり、ウイルスだったりすると目に見えないだけに見通しが立たないことで不安が増し、被害者意識は尾を引きますが、今回のように外出しないなどの自衛をすることで当事者意識は高まっていくようにも思います。


最近のツイッターを見ていると、ウイルスがらみで「被害者意識」や「当事者意識」の捉え方、温度差が違いすぎることによって生じる歪みというか、ギスギスしたものを感じてしまいます。

被害者意識は長引かせると愚痴ばかり言って自分で行動しなくなり、当事者意識は高すぎると被害者を傷つけることもあるので、「自分はすでにウイルスを持っていて、相手にうつしてしまうかもしれない」という加害者意識をある程度持っていることも必要なのではないかと思うようにしています。(注:「相手を攻撃するという加害者の意識」という意味ではなく、誰もが加害者になりうるという意識)

ウィニペグでは長い冬で冬季鬱に罹る人がいますが、それに加えてコロナ疲れ・コロナ鬱と呼ばれている引き続き外出できないことによる閉塞感や焦燥感のようなもので病んできている人が私を含めて多くなるような気がします。

いち早く予防薬、特効薬ができることを祈りつつ、ツイートやブログで社会に優しい・一服の清涼剤のような情報発信ができていけたらと思っています。

それでは、また。

(Visited 285 times, 1 visits today)
 
今回の記事が気に入りましたら、以下の『海外永住』ボタンを押してください。ランキング向上にご協力ありがとうございます。  
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外永住へ
にほんブログ村
  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください