ERに行った話。WCB手続き他。

前回の記事で投稿したように、キッチンで指を切ってしまいました。指を心臓より上にあげて、さらにガーゼとテープでぐるぐる巻きにします。

ずっと手を挙げているのって疲れますね。ダレてくると写真のように他の指が曲がっていき、中指だけが立っているという「F〇CK!」な手になってしまうわけですよ。

病院まで左ハンドルの車を運転していた時も常に手は心臓より上で、左手は窓際ですから、そのうち隣に停車した人から怒鳴りこまれるのではないかとドキドキして、そのドキドキに合わせてドクドク出血していましたっけ(嘘)

職場からも家からも一番近いER(緊急救命室)がある病院はConcordia病院なので、すぐに受付してもらいました。受付でマニトバヘルスカードを渡し、状況を説明します。

聞かれることは、アレルギーがあるか、何か現在薬を服用しているか、何語で話すのが安心するか(英語以外何語を話すか)、宗教的な何か(制約?)があるか、ファミリードクターの名前、緊急先の電話番号(私の場合、妻の携帯)などをデータに入力してくれます。

血圧を測り、傷を見てくれてから指をグルグル巻きにしてくれ、待合室で名前が呼ばれるまで待ちます。その待合室で妻にケガをしたことを電話し、心配させてしまうことになるのですが、何も言わないで何かあったら(例えば出血が多くて意識を失うなど)嫌なので妻には伝えておくことにしたのです。

30分くらいして名前が呼ばれて、診察室に通され男性の看護師さんが、
「傷が大したことなく、止血ができそうだったら私が処置できるのですが、あなたの場合はドクターに詳しく見てもらったほうがよさそうです。しばらくこの診察室でお待ちください」と、それからが長かった!

Wifiが通じて妻と雑談できたからまだ気が紛れましたが、11時半に病院入りして、2時半になっても誰も来ません。妻にどれくらい時間がかかるのか、ERの待ち時間表示をリアルタイムでしてくれているサイトで調べてもらいました。

Concordia病院は4時間半待ちですから、11時半から4時間半で16時にドクターの診察を受けられるといった予想のようです。

待合室ではなく、独房のような診察室で、いつ先生が来てくれるかわからないまま待っているため、トイレに行くにも気を使い、売店がどこにあるのかもわからずイライラしてきます。

先ほどの看護師さんに「のどが渇いたからどうしたら水をゲットできるか教えてください」と聞いたところ「そうだよね、おなかもすいているでしょ?持ってきてあげるよ」と

なんと無料のランチボックスと水をもらうことができました。3つのうち、ベーグルサンドパックを選択したのですが、クリームチーズが二つもついていて空腹には美味しかったです。

もう16時になるのにまだドクターはこないけど、食べたら元気が出てきて、痛みも我慢できるようになりました。待っている間に職場の同僚が心配してくれて電話してくれました。

「私の叔母はERに入ってから8時間もかかったの」

もう一人はメッセージを送ってくれたのですが、

「俺も指を切ったときERに行ったけど6時間待ったよ」

とまだ4時間待ちでイラついていては甘かったと思い知りました(笑)

そんな電話のやり取りをしていたらスマホの充電がなくなってきます。充電器を持ってくればよかったって、さすがに無理でしたが、もしこのブログを読んでいる方でERに行く(付き添い含む)方がいましたら充電器と暇がつぶせる本などを持って行ったほうがよいかと思います。なにしろ本当に独房のように何もないところでただひたすら左腕を心臓より高く上げて待っているだけなのですから。指の痛さよりそっちのほうがつらかったです。留置所や拘置所は、反省を促したり、早く帰りたいがために自白を早まらせるために必要なのだろうな~と実感したものです。

16時40分。ようやくドクターが「遅くなってすみませんね」と優しい笑顔で現れます。実に5時間が経っていました。5時間も経っていると血がカピカピに固まっているんですね。ガーゼをはがそうとしても剥がれない。無理やりはがそうとすると出血がひどくなるわけで、ドクターは、さきほどの男性看護師に、
「このガーゼをとって他の処置もしておいて!」とどこかに行ってしまいまうのでした。(え~また待たされるの~)

カナダのドクター不足はこの数分の間にさらに実感しました。ドクターがガーゼ処理やなにやらで時間を無駄にしたくない、その時間があるならほかの患者を診ないとという気概が感じられるのです。

実際、私よりはるかに具合の悪そうな患者さんが救急車からタンカーで院内に運ばれているのを少なくとも3回は見ていますのでその人たちに比べれば私のケガなどどうってことないのかもしれません。

待っている間、男性看護師は丁寧にガーゼをとってくれ、さらに注射(化膿予防?破傷風予防?)を打ってくれました。

それから約1時間待たされ、ようやくドクターが傷を診てくれて「もし傷が骨に達していて、骨の破片が散らばっていたら治りづらくなるからX線を撮りましょう」とのことでX線受付待ちが始まります。レントゲンを撮ってからもしばらく待たされ、苛立ちからかドクンドクンと傷口がさらに痛くなったものです。

幸い骨には達しておらず、中指の指先が5分の1くらいなくなっただけでした。血がとまらないのでジェラチン配合のスポンジを傷口にあてるとしばらくして止血ができました。ドクターは「傷口は残ってしまうけど、しばらくして再生すると思う。早めたければ形成外科にいったほうがよいかも。2,3日のうちにはファミリードクターに行って経過を診てもらってね、化膿したら大変だから。痛ければ痛み止めを飲ませてあげるけどどうする?」と聞いてくれました。

痛み止めの薬や持ち帰りのガーゼやテープまで処方されず、現地でもらえる限りは無料なんですね。夕食も食べていくかいと看護師さんに聞かれた時はさっきまで長く待たされた苛立ちがすっかり収まっていました。まぁ、ようやく解放される安心感からかもしれませんが。(夕食は食べませんでした)

11時半に病院に入ってから18時半過ぎに病院から出たわけで、実に7時間以上もかかったことになります。スマホの電池もなくなって何もできなくなった時は、本当に個室な診察室が独房のように感じたものです。

それと、骨を切っていたらもっと重症になるということは、小指を詰めるやくざがいかに痛いか・不便になるかということも、そして、戦国時代など日本刀で斬りあった時代には、ちょっとでも刃が触れただけで大けがになったであろうし、衛生や医療も充分じゃなかっただろうから膿んで苦しかったのではあるまいか。

「おら、やくざさんや、おさむらいさんにならずによかったべよ……」

そんなことを、6、7時間経った病院内の診察室の明かりをながめながらぼんやり考えていましたっけ。よっぽど心身ともに疲れていたのだと思います(笑)

翌日にはファミリードクターに行き診察をお願いしました。

予約していったのですぐ診てもらえ、先生にまず職場での事故であったこととその後すぐにERに行ってレントゲンを撮って治療してもらったことを話しました。

「いつ、指のガーゼを変えた?」

「昨日、夜から変えていません」

「臭いはどう?化膿していると黄色い膿が出て、臭いがしてさらに赤紫色になっていくからね」

「臭いも色も大丈夫です」

「痛みは、一番痛かった時を10だとして今、どの数値になる?」

「2か3くらいです」

「今ここでそのガーゼは開けないほうが良いと思う。理由は、前日の先生の処置がまだ残っているから。それとここであけるとまた出血がひどくなる可能性があるから。つまりかさぶたになっているなら無理することないということです。もし膿んだら抗生物質が必要になるから念のため処方箋を出しておきましょう」

ドクターが使う「Pus(パス…膿)」や「Scab(スキャブ…かさぶた)」などわからない単語は、わかるまで聞き、これからどうしたらよいかの参考にしていきました。なぜなら定期的にお医者さんにかかるわけではなく自分でケアしていかなければならないからです。(この辺が日本の医療と違うと感じるところでして、こちらから希望しない限り経過観察がありません)

今回、ファミリードクターが気にしてくれたことは2つあります。

1、膿んでいるかいないか。とにかく膿まないようにすること。

2、Worker’s compensation(労災)について。

職場でケガをした場合、Incident report(事故報告)をWCB(労働基準監督署のような所)に誰かが提出しなければなりません。その報告に基づいて労働者が補償され、職場復帰しやすくなるのです。(職場復帰は今は考えたくはありませんが)

自分で申請することもできるのですが、申告するためのフォームは事業主が持っていて、事業主が手続きをやってくれる場合が多いとこのこと。事業主はファミリードクターにもフォームを提出しなければならないようで、ドクターの名前とファックス番号を事業主に伝えるようドクターに言われました。

私はクリニックから帰ってすぐに事業主にメールで問い合わせました。

「全部こっちで手続きやっておくから心配ないよ。一度、WCBから君に電話が入ると思うけど。政府が賃金をカバーしてくれるだろう」とのこと。
(追記、WCBオフィスから4月18日に電話があり、どこで働いていての事故かを説明して、書類を送ってもらうことにしました。送られた書類に記入して返信する必要があるようです)

これで治療から手続きまで一通り2日で終わったことになります。

あとは膿まないように傷口を乾かしながら、子どもが無意識に手をつなごうとしてくるのを華麗にかわしながら治していこうと思います。

ご心配くださりありがとうございました。

それでは、また。

※備忘録(前回の投稿から今回までの支出)
【合計61.71ドル】

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