Remembrance Dayの意味を実感しました。
11月11日(月)はRemembrance dayで、第一次世界大戦の終戦記念日です。今から101年も前なのですね。
従軍時に詩を残したカナダ兵士、ジョン・マクレーの『フランダースの野に』という詩の一節に赤いひなげしの花(ポピー)が戦争の暗さやはかなさと対照的に活き活きと描写されていることから、赤いポピーの花がリメンブランスデーの象徴となっています。
街中では日本での赤い羽根募金のように赤いポピーのブローチやシールが募金に応じた人に与えられて、この時期に胸にしている人が多いです。
日本で終戦記念日というと戦没者追悼や戦争の悲惨さを前面に出しているところがあるイメージで、市民のイベントへの参加率が低いように思うのは私だけでしょうか?(あなたは終戦記念日のイベントに何度参加したことがありますか?)
カナダではリメンブランスデーのイベントや教育が思っていたより盛んに行われているように感じます。
今回は子ども達の学校でのリメンブランスデーの式典の話をしたいと思います。
「ぼく、リメンブランスデーの学校イベントで学年代表として献花する役に選ばれたよ」
と息子(6歳)が嬉しそうに話してくれました。ちょっと前まで英語が話せないから引っ込み思案だったうちの子が、立派な大役を仰せつかったと聞いてウルウルと目に涙を貯めました。
息子のクラスはやんちゃな子が多いため、大それたことをしないうちの子のほうがこのような式典には適役なのでしょう。
具体的にどんな役割なのでしょう?以下の写真で伝われば嬉しいです。
(体育館で保護者も参加OKだったので、妻が参加してきてくれました)
コーラス隊として3曲くらい歌うことになっている娘がいうには「このイベントでは笑ったり、手を叩いたりしてもダメな式典なんだからママも写真撮るときは気を付けてね」と注意していたほど……。
特にベテラン(元軍人さん)などが参加しているわけではなかったようですが、真面目な式典だということは伝わってきます。
校長先生が名司会をして、全員に問いかけます。
「それではみんな、『あなたにとっての平和』とはどんな感じかを考えてきてくれたかな?まず今回は式典で献花してくれた生徒に代表で自分が考えた平和のイメージについて話してもらおう」
うちの息子もメモを持っていつでもこたえられるように準備しています。
さて、
もし、あなたが「あなたにとって平和。Peaceのイメージとは何ですか?」と問われたらどのように応えますか?
日本は戦争の当事者であって、平和のイメージについて語りやすいかと思いますが、一方で平和のイメージの逆はすぐに戦争や争いごとに結びつきやすいのではないかと思うのです。
ちなみに私の平和についてのイメージは、
【「ピヨッ・ピヨッ」と一歩ずつ、ひよこの鳴き声のような音がする靴を履いてよちよち歩きする幼児の様子】です。
この靴を軍隊に導入すれば、忍び足で歩けないだろうし、行軍の可愛らしさで誰も殺しあおうとなんて思わなくなるだろうから(笑)平和が足元から訪れてくるような気がしています。
「心の平和」と「心の平安」と日本語を並べてみて気づいたのですが、「心の平和」は争いから遠ざかっているイメージで、「心の平安」のほうは単に心が穏やかなイメージがするのです。(繰り返しとなりますが「戦争と平和」という言葉がいかにセットとなって結びついた概念であるかをも感じられました)
英語だと「平和」も「平安」も「Peace」なのです。
だからこそ、校長先生が生徒達に「Peace」のイメージを問うと、
「Peace、それは僕にとってピザの匂いです」
「わたしにとっては、弟(3歳)の寝息の音です」
「ママとパパの笑顔」
息子は
「お人形遊びができる時間です」
と、それぞれ五感で感じたことを発表していました。同時に、教育の場において、このような自分が感じたことを『学校の先生が用意させた戦争の悲惨さのような答えではなく』自由に自分の意見が発表できるこの気風も良いと思いました。
「ああ、リメンブランスデーとは『Peace』について考える日なんだ」
と実感し、平和と幸せがいかに結びついているのかや、どのように平和になっていき、これからも平和にしていくのかも考えることができるきっかけを与えてくれたこの学校教育には心から感謝しました。
カナダのウィニペグは何もない田舎だと言われることがありますが、戦争の危険性がほぼなく、地震や津波にまつわる問題がなく、人々はあまり干渉してこないため、平和や平安は自分で作りやすい環境にあるように思います。
確かに移住したてで永住権が取れるまでは心に平安がない日は多くなりますが、先々の家族の平安、特に子ども達の将来を考えるからこそ頑張れるのです。
リメンブランスデーを経て、また、学校や子どもを通じて、妻や子ども達と平安や幸せについて話し合えた有意義な時間が、これからの平安や幸せなイメージと結びついていきます。
来年もリメンブランスデーをきっかけに家族で向かいたい道を共有できるような日にしたいと思っています。
明日以降もあなたに平和、心の平安が訪れますように……。
それでは、また。