マニトバ州で今働いている職場は今までで一番快適。工場の仕事や自慢について。
本日2025年10月18日(土)のカナダ・マニトバ州ウィニペグの最高気温は10度。最低気温は5度。日の出時刻は7時55分。日の入りは18時30分です。
平日は毎朝7時半ころ家を出るのですが、まだ空が暗くて寒い中を自転車で職場に着くだけで何だか一つ仕事をやり終えたような気がしてきます。
職場に着くと8時の就業開始時間までみんなゆっくりしていて、私を含めて遅刻をする人はいない真面目な職場です。
タイムカードがないし、朝礼や会議などもない、売り上げ目標もないようなとても緩い雰囲気の職場なのに、社員がみな真面目なのは職人気質な人が多いからなのかもしれません。
メタル加工で主にWasher(ワッシャー=座金)といって、ボトルやナットの間に入れて緩み止めなどに使われる円盤状の部品を作っていますが、多種多様な部品の注文もあり結構面白いです。
ある時ボスが「面白い部品の注文があった」とニコニコして話しかけてくれます。
スケールアーマーとかスケールメイルといわれる鎧があるのですが、その鱗部分を大量に作ってくれとの注文だったのです。(ハロウィン向けなのかな?)

(この画像はイメージです)
金属を切り取る金型を使ってスタンプのようにパーツを作っていくわけですが、製作はベテランの職人さんにやってもらって、私ともう一人は検品と箱詰めなどみんなで手分けして作業していきます。
私は前職がカナダグースでジャケットを作っていましたから、その経験を利用してできれば鎧一着丸まる作ってみたかったのですが、さすがにパーツでの受注ですし、なにより何万ピースもの鱗を均等に紡いでいく自信はありませんでしたw。
パーツは鉄、ステンレス鋼、アルミなどを主に扱っていますが、ステンレス鋼でも303ステンレスと316ステンレスの違いがいまだに分かりませんし、パッと見でステンレスとアルミの違いもまだすぐに見分けられません。
マテリアルの種類が多いだけでなく、厚さ(Thickness)のほんのちょっとの違いで用途が違ってきたり、熱処理してあるか、メッキ加工をしてあるかなどでまた扱いが違ってきたりするため、なかなか奥が深いといいますか間違えやすくて注意が必要です。

(一つ一つの座金にガルバニックコーティングするために数珠つなぎにしています)
パーツの腐食を防ぐためのガルバナイズやクロムメッキや亜鉛メッキなども含めてコーティング加工は外注していますが、製作から配送まで自社で行っているため、私も携わる仕事が増えてきて嬉しいです。
最近増えた仕事は、フォークリフトを使った作業や、加工されたばかりのメタルパーツのバリ取り機械のオペレーション、新しく購入してもらった部品袋詰め機械を使ったパッキングです。

フォークリフトはだいぶ慣れました。慣れすぎて、自分の車に乗ってバックしようとする時、ウインカーレバーを動かしてしまうという【フォークリフト使用者あるある】をしてしまうようになりましたよ。(←カナダでフォークリフトを使っている人ならきっとクスッと笑うはずだ!)
部品袋詰めに関しては、シッピング作業をしている際「この部品を袋に入れたら、その部品と混ざることなく同梱できるのに」というプレゼンをボスにしたら「やってみなはれ!」と言ってくださり(英語でw)、熱で封するパウチ機械、例えるなら食品を真空パックできるような機械を会社経費で買ってくれました。多種多様なパーツを一箱に同梱できるようになったことで、配送経費はだいぶ削減になることと思います。(パーツが混ざってしまう心配もない)
そのほか、8時間のファーストエイド(応急手当)講習を病院の施設で受け試験をパスし、職場でただ一人のファーストエイダーとなり、現場で怪我した人が出た場合は私が責任をもって対処することになりましたよ。
おかげさまで2回も昇給がありまして、この職場に就職できて本当にラッキーだと感じています。
今年2025年1月2日から働かせてもらっていますが、大きなミスもなく怒られたこともありません。
ただ、初めのころ先輩社員からは『使った道具などは同じ場所に戻す』ということを警戒されました。
警戒されたというのは、今まで辞めていったレイジー(怠惰)な人たちはたいてい使ったら使ったまま、置いた場所さえ忘れて道具がなくなってしまうということが多々あったようで、私もその手の人間だったら許さないぞというような警戒感があったというわけなのです。
私は何度も使ったらすぐ返すことを繰り返し、ようやく禊が終わったかのように先輩たちが優しくなってくれて一安心。
しかし、気難しい職人肌の中国人の先輩がいまして、この人と仲良くなるには時間がちょっとかかりました。
彼は20年近くこの職場で働いているのですが、いまだに英語がほとんど話せません。
いや、むしろ中国人社員が数名いて英語を話す必要がない職場環境だからこそ話せないのかもしれません。
この中国人社員たちともっと話せるようにできればと、今年の2月からアプリのDuolingoで中国語を勉強しはじめました。
もともと私は中学時代に台湾人の友人がいて、何度も台湾に行っているうちに中国語をもっと話したくなったのです。
ある時、その気難しい社員が私に「工場にある機械への油の入れ方」を教えてくれました。
何か月かに一度は油を追加するようなのですが、油圧シリンダーを一定の位置に動かしてからしゃがみ込むように油を入れなければならず、その姿を見ながら私はここぞとばかりに、
「加油、加油」と声をかけたら、彼はニヤリと笑いました。
中国語では加える油と書いて、日本語訳は「頑張って!」という意味になり、同時に本当に油を加えているわけですから彼から笑い顔をゲットできたというわけなのですw。
そのほかにも、中国語で「このパーツは大きいから」という説明を私にしてくれた時も、「重い(ツォン)からでしょ」と中国語で返すと「そう、実際は重いからだ」とまた(お前わかっとるやないかという感じで)ニヤリ。
それからというもの仲良くしてくれるようになり、ありがたいことです。(しかし、早口の中国語はわからなくてありがたくない)
職場内での人間関係によるストレスがなく、マニュファクチャリングの現場ではよく見かける激しく体臭が臭い人もいない。仕事をせかされることなく、給料は前の職場より良いとあって、職場ガチャに恵まれたように感じています。
これからも職場の安全と健康に気を付けながら楽しんでいこうと思っています。
それでは、また。

