パーク・ベンチ・ドネーションについて。居心地の良い場所を目指して。

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そのベンチは公園から遊歩道に向かう藪の片隅に佇んでいた。

ベンチに座れば、橋を渡って行く人、渡ってくる人が前を通ることになる。

遊歩道の先は一面のプレーリー。

これから遊歩道を歩く人のためにこのベンチはあるのか、遊歩道から帰ってきた人のためにあるのであろうか。

誰のためのベンチなのかもさることながら、誰が何のために設置したベンチなのだろう?

いや、目的なんてどうでもいいのかもしれない。

ふとベンチの横を見てみると、プレートがあり何かが書いてあるようだ。

「”SIT A WHILE AND DREAM” IN MEMORY OF TED KELLY」

意訳「しばらく座って、夢でも見なさいな(テッド・ケリー氏を追悼して)」

今まで多くの人がここに座り、これからも未来に思いを馳せるだろう。

ベンチがそこにある限り……。

終わり。

※このベンチと風景はファルコンビーチにあります。

 

なんだか素敵だと思いません?

私は勝手にストーリーを感じ、同時にカナダ(欧米)らしさも感じたんです。

公共の場に設置されたベンチの一部にプレートが付いているのはうちの近くの川沿いの緑地でも見られます。

これらのベンチはどこが扱って、いくらするのか?

何年ぐらい置けるのかなどの疑問がわいてきます。

そこで先輩ウィニペガーさんに聞いてみると、行政が管理しているのだと教えてくれました。

ウィニペグ市の場合ですと、公園課の寄付ベンチについてのリンクがありました。(英文)

1500ドル(現在約12万円)を市に寄付することで設置できる権利が得られ、ベンチを設置してくれるそうです。

最低でも10年間は市の職員が管理してくれます。ただし、ベンチにつけるプレートは別に購入する必要があるようです。

ほかの先輩ウィニペガーさんは「アッシナボインパーク&動物園」でもTribute Programとして様々な取り組みがあると教えてくれました。

このリンクによるとメモリアルストーンという石畳やベンチ、フェンスなどに名前や文言が入れられるそうです。

市が管理しているわけではないからか、ベンチの価格は3,500ドル(あるいは5,000ドル)と倍以上します。

 

日本でもこのような仕組みがあるのかと調べたところ「思い出ベンチ」として東京都のサイトで見つけることができました。

私は東京生まれで日本に平成28年まで住んでいましたが、実物を見たことがありませんでした。

勝手に寄付ベンチにカナダや欧米らしさを感じていましたが、東京都では平成15年からスタートしていたんですね。

15万円か20万円の寄付でプレート付きベンチを設置できるのだそうです。

 

もし、あなたがプレートに辞世の言葉を刻むとしたらどのような文言にしますか?

また、身内に思い出として刻んで欲しい言葉はありますか?

私は身内の誰かが「ボルさんの信条(口癖など)だったよね」というような言葉をプレートにしてくれたら嬉しいです。

 

その後、実際にベンチにはどのような言葉が刻まれているのか気になり、公園に行き、プレートの文言を確認してみました。

辞世の句のような言葉を見つけることができたり、残された人たちからの感謝がつづられていたりと、読むだけで心がホッコリします。

故人を追悼して設置する、二人が恋に落ちた場所の記念として設置する、75歳の誕生日の記念にというのもありました。

私は、このような寄付ベンチによって人々が思い出のドラマを共有でき、追悼を捧げることができる仕組みに感動し、

「あらかじめ自分のお墓を考えるより、寄付ベンチを設置する方向にしようかな」と思うようになりました。

同時に「ここにくると落ち着く」「居心地がよくてつい長くいてしまう」「あの人との思い出の場所」など、自分にとって大切な場所を持てる、実感できる、探せるようなサービスがあったら多くの人に役立つのではないかと考えてしまいます。

自分らしさや居心地の良さを追求できる時間。

生きてきた証を共有できる人たちや場所。

それらが形になったり、自分で納得できたりした時に人はより心豊かに安らかに次に旅立てるのではないかと思うからです。

今回、パーク・ベンチ・ドネーションを調べる過程でそんなことを改めて考えることができました。

もし、「自分にとって大切な場所をカナダに」と考えている人がいましたら今後も何かお手伝いできたらと思っています。

それでは、また。

 

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