マニトバ州は緊急事態宣言を発令。辺境の先住民コミュニティはさらに苦境に。

2025年5月28日(水)の午後5時25分頃だったか、車に乗っていたらカーラジオで流れていた曲の途中で緊急アラートが流れてきました。同時にスマホにもアラートが……。

日本だったら地震速報か何かかと思うところですが、ウィニペグでは地震が起きたことがありません。

雷雨でもなければ、竜巻でも、この時期は洪水でもありません。

残る自然災害の一つといえば、そう山火事です。

このブログでも何度も触れていますが、今年の山火事は特にひどくて今回のように州の非常事態宣言が出るほどです。

日本のヤフーニュースでも記事になっていました。

山火事による煙の影響で太陽がいつもより赤っぽく見え、ウィニペグにいても煙の臭さを感じ、のどがいがらっぽくなります。

今週は全然雨が降らず、日中の湿度が30%にも満たない日があり乾いていて、さらに風が強かったわけですから燃え広がる速度も速かったと察せられます。

マニトバ州の過去20年間の平均一年間の山火事発生件数は約80件なのですが、5月29日(木)の段階で既に合計103件の山火事が発生しています。すでに森林の約200,000ヘクタールが燃えているのは、ここ5年平均と比べて3倍もの規模になっているのだとか。

これからさらに火事を増やさないためにもすべての州立自然公園が閉鎖されました。これは良い判断だと思います。

今週末もトレッキングして野草やモレロというキノコを採りに行こうかと思っていましたが、しばらく家で過ごしたいとおもいます。(キャンプも今年は諦めかな?)

マニトバ州のコミュニティーで被害にあっている方々の一日も早い回復を祈りつつ、いまもなお消火に努めている消防士たちを陰ながら応援したいと思います。(カナディアン赤十字のサイトを通じて100ドル+送金手数料6ドル=106ドルを寄付しました)

 

マニトバ州北部、ウィニペグから1000キロ北、車で13時間もかかる場所にSouth Indian Lakeという地域があります。

1960年代、その土地にはまだ電気も舗装された道路もなく、先住民コミュニティが漁と罠狩猟で伝統的な生活をしていました。

湖では、ホワイトフィッシュという魚の安定した漁獲量が毎年期待され、ほかの先住民コミュニティーよりは自立した安定経済を営んでいたそうです。

その湖、South Indian Lakeがひと昔前に3メートルも水面が増水して、魚が獲れなくなり、コミュニティーが衰退したというドキュメンタリー動画を息子と先日見ました。

なぜなら、息子が通う中学校で『Augmented flow(増水)』というタイトルで上記の動画を観てその感想やディスカッションをするという授業をしたそうなのです。

この湖面の増水、人的な被害のものでした。

1960年代から政府とマニトバ州電力会社(以下、マニトバハイドロ)は水力発電開発を進めていて、チャーチル川の水量を分岐させ、ネルソン川下流の水力発電ダムに流すという過程において、その途中にあるSouth Indian Lakeが洪水の憂き目にあってしまったのでした。

その後、州政府とマニトバハイドロ社による補償があって、コミュニティーには電気が通り、道路も舗装され、さらに住宅や学校、複合施設なども建設されて『近代化』が実現したかに思われましたが、地域経済は急落し、洪水による水銀汚染なども確認され、伝統的な漁業は立ち行かなくなりました。

息子の学校の授業の宿題プリントのおかげで、

「経済の発展と地元コミュニティーの関係についてどう思うか?」

「どのような解決策や予防策があるか?」

などを問う質問を息子と一緒に考えることができました。

そして、ちょうどその話をしたばかりの時に今回の山火事による緊急事態宣言。

 

South Indian Lakeの南西15キロのところにも山火事が起こっていて地元住民は避難を始めています。

大自然と共に生きることは決して簡単なことではなく、クマによる被害、洪水などの水害、そして今回のような大規模山火事の脅威にさらされているのを実感しました。

コロナの時期には、医療が行き届かないため多くの先住コミュニティで死者が出たとの話も聞いています。

マニトバ州の人口約135万人のうち約17%という大きな比率で先住民が存在します。これはカナダの州の中で一番高い比率です。

つまり、先住民問題はマニトバ州ではメジャーな問題であり、今回の山火事においても、ウィニペグに避難してきた人たちを受け入れる体制がすぐに作られました。(ヘルスサイエンスセンター(病院)や各コミュニティーでの仮設住居提供やドネーション受付など)

SNS上に流れた「飼っている犬だけでも預かってほしい」という切実なコメントに胸を打たれます(そのコメントには、多くの人が預かることを申し出ていましたよ)

もちろん、良い話だけではなくウィニペグに浮浪者が増え始めたというコメントがあったり、実際に昨日、ダウンタウンのメイン通りとローガン通の交差点あたりにはいつも以上にラリっている人たちがいたりして、治安の悪化が懸念されています。

今回の緊急事態宣言にまで発展した山火事の問題は、先住民コミュニティーの問題をはらんでおり、今後のコミュニティーの在り方がさらに問われているように感じています。

私にできることは限られていますが、子どもと一緒にマニトバのことを勉強したり、今回の山火事において今まで以上に当事者として考えることができていたりするのは、マニトバ州にお世話になった8年と11か月があるからなのだと思います。

冬の極寒や、今回のような山火事などあまり良いニュースとは思えないものしか日本に届かないかと思いますが、私のこのブログでこれからもマニトバ州やウィニペグについて実体験や良いニュースをお伝えできればと思っています。

いつも読んでくださってありがとうございます。

それでは、また

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