息子の場面緘黙症が悪化している。でも、希望は捨てずに釣りあげる。
今回のブログ記事は、12歳の息子のカナダでの場面緘黙症(Selective Mutism)の話の続きとなります。(前回の記事はこちら)
夏休みに入る前まで、毎週三日以上は学校のお昼休みにカウンセラーの先生と話す練習をしていた息子なのですが、だんだん場面緘黙症の症状がひどくなってきてしまいました。
学校の健康診断の一環でワクチン接種(麻疹など)があり、注射を受ける前に生年月日と名前を言わなければならなかったそうですが、話せなかったため生年月日は手で数字を作って伝えたと息子から聞きました。
眼鏡屋での年に一度の眼科検診においても、視力検査でだんだん小さくなっていくアルファベットを言うことができず検査が難航しました。現場に私もいたから気づくのですが、昨年までは多少話せていたのに全く話せなくなっていて症状が悪くなっているという印象を受けたわけです。
カウンセリングの先生から「彼は2,3日私と話さない日が続いて久しぶりに話そうとすると声が出なくなっています。もしかしたらそろそろ向不安薬の服用が必要な時期になっているのかもしれません」と言われてしまいました。
日本の私の父(息子の祖父)に電話で話してみようということになっても「何を話していいのかわからなった」と一言も話さずに私のスマホを返してくることになりました。
我が家では饒舌に話してくれるため、外で(私たち以外で)彼が緘黙してしまう場面に一緒に直面すると「このままではいけないな」と焦りが出てきます。
以前のブログにも書きましたが、場面緘黙症はそのままにしておいてよいことはありません。早い時期に話せるトレーニングをさせる必要があるのです。
いままでのトレーニングの仕方に問題があるのか、あるいは息子が反抗期になって心がよりセンシティブになっている影響なのか、悪化していっているというのはやはり気になります。
そこで、日本での場面緘黙症治療の第一人者、高木先生に相談することにしました。
いちりづかというホームページにてズームによる面談予約をし、日本時間では朝9時、ウィニペグ時間では夜の7時という時差で息子について妻と一緒に相談したのです。
途中から息子にも参加してもらいましたが、カメラ設定をオフにしてこちらの顔が相手に映らない状況にしても話さず、しかも音声もミュートにして欲しいと息子から頼まれて、ミュートにしている間に家族で話したことを先生に伝えるという感じで面談を進めました。
高木先生からはまず「本人が話すようになりたいという意志がないと続かない」とのことで息子の意志を確認したうえで、例えば学校の友達の誰々と声を出して話せるようになるなどの目標を持つことの大切さを教えてもらいそれを9月から実行することにしました。
つぎに、どの状態でどのくらいの不安や緊張があるのかを表を使って把握できる方法を共有させてもらったり、様々なトレーニング方法も紹介してくれたりして、例えばオンラインゲームで音声チャットに参加してみるなどの夏休み中にできそうなステップを決めることができました。
夏休みは、人とほとんど会うことなく家で過ごすことができてしまうため、症状がさらに悪化することが危惧されます。
しかし、9月から新年度が始まってから学校で本格的なトレーニングを始めることにして、夏休みは彼にプレッシャーをかけることなく過ごさせてみてはどうだろうという話し合いを夏休みに入る前のズーム面談でできたのは親子ともども安心につながりました。
それでもなるべく外に出るために、アウトドアの趣味を増やすことにしたのです。
妻と相談して、息子に釣竿を買ってみました。(フィッシングライセンスは子どもは必要ないですが、同伴の親が必要なため買いました)

息子は動物や魚などの生物が好きなため、すぐに興味を持ちましたよ。ルアーなども自分で選んで買いました。

ちょうど昨日、キャンプでヘクラに行ってきたため、練習の成果を確かめられる時が来ました。

妻よりも娘よりも背が大きくなっている息子が釣竿を持ちながら勇ましく歩いています。向かう先は防波堤です。

このような防波堤では、釣りをしている人を見に来る人たちがいて、息子は「自分が下手なのを見られるのが嫌だ」とか「釣れているかい?と話しかけられるのも嫌」と言って不安症状が出てきます。やはり、彼にとって場面緘黙症の主たる症状は【他人に注目されるのが嫌】というところにあるのだと感じました。
しかしながら、彼はその場に座り続けることを選びました。釣れるかもしれない興奮のほうが勝っていたようです。
だんだん日が暮れてきて、他にも釣りをしていた人たちが帰っていきます。釣果がなかったとぼやいていたそうなので、この夕方時期は釣れている人はいないようでした。
釣りが嫌いな私と娘は早々に車に引き返しましたが(だって寒かったんだもん)波止場で妻と息子の二人だけになってもずっとキャスティング(ルアーの投げ釣り)の練習をしていていました。
ヘクラではまだかろうじて明るい夜の9時半を過ぎたころ。
なんと、釣竿がたわみ始めます。
妻が狂喜乱舞しているのを私は車から見つけて、すぐに駆け付けてみると、

約27センチのウォールアイを釣っていたではありませんか!
見てください、この満面の笑みw。

さっきまで、注目されたくないようなことを言っていたのに、注目されたそうな顔をしているようです。
キャンプ場にすぐ帰って、調理がはじまりました。
まさか釣れるとは思っていなかったので(←失礼)まな板や鱗とりの道具などを持ってきていませんでしたが、包丁があったため、まず、血抜きのあと、包丁で鱗をとってもらい、頭をとって三枚おろしに。

これら、一連のことを自分からやりたいと言ってくれて、家で妻が魚をさばくのを手伝ってくれていただけあって、結構器用にさばいていくのです。(妻の教え方も上手)

夜の10時過ぎてもこの体験への興奮は冷めません。

油をしいて、皮を下にして塩コショウだけで焼き始めます。皮がパリッパリに焼けて、白身はふっくらと焼き上がり、いざ実食!

4つに分けて家族で食べてみましたが、みんなで歓声をあげるほど美味しかったです。
淡水魚独特の泥臭さやクセもなく、タイやスズキ、さわらなどに似た白身魚らしい味でした。
ウォールアイは美味しいと聞いていたけどこれほどとは……。
「一人で2,3匹は食べられそうだから、次回はもっと釣ってよ」と娘がリクエストしていましたが、確かにこれにお醤油をかけて飯何杯もいけそうだと感じましたよ。
12歳にして自分で釣った魚を自分でさばいて食するという経験は、彼にとって夏の良き思い出となっただけでなく、自信につながる体験だったことでしょう。
このように成功事例や彼の望む経験を通じて、彼に適した場面緘黙症のサポートを家族みんなで続けていきたいと思っています。
それでは、また。

