ネット用語【マウンティング】の話。これからのSNSについての希望。

今日のウィニペグは寒いですよ~。

MSNの天気予報を今朝みたら、写真のようにマイナス29度で、体感気温がマイナス46度になっていましたよ。

ひげやまつ毛が凍り、身の危険を感じる気温です。

と、まぁ、極寒がマニトバ州の名物なので、このように(こっちのほうが寒いんだぞ~と)【寒さマウンティング】をしたくなっちゃいます(笑)

(以下は参考画像:可視化された寒さマウンティングの図)

今日はそのマウンティングについて書こうと思います。

今から約20年前。まだ世にマウンティングという和製英語のネット用語がなかった時のこと。

とある知恵袋的なサイト(質問にみんなで答えてあげるサイト)にこんな質問がありました。(以下、うる覚えですから少々脚色してあります)

「昨日の飲み会でお酒を飲み過ぎてしまい、起きたらひどい二日酔いになっていました。このあと大切な仕事に行かなければならないので、今すぐできる二日酔いからの回復方法があったら教えてください」

あなたでしたらどのように回答しますか?

この質問に対して、数十人の回答がありました。

「時間がないようですから洗面所で冷たい水で何度か顔を洗うのはどうでしょうか?」

「昔から二日酔いには温かいお味噌汁が良いと聞きます。しじみ汁など」

実は、上記のように質問者さんの状況を考えての優しい回答がコメントされているのは稀でして、

「自業自得、迎え酒でもしていろ」

「二日酔いになるまで飲むのが悪い!」

「自分だったら大切な仕事の前に飲み会を入れないな」

など、質問者さんをおとしめたり、なぜか自分の優位性を示したりする回答が多くあったのをみて、

「この現象ってなんだろう。もし名前があったら知りたい」

と気になっていたら、その約10年後(2010年以降)に「マウンティング」という言葉が流行り始め、現在は普段使いされるようになりました。(←さりげなく「流行り始める10年も前から俺はこの現象について気にしていたんだぜ」とマウンティングしている。笑)

この質問では、前提としてすでに二日酔いになっていて、目的として二日酔いからの早い回復という明快な条件が読み取れるにも関わらず、回答者は相手の前提条件や状況をくみ取ることなく『自分だけの正義』を出してきてしまっているのでした。例えるなら、水に溺れていて困っている人に、水のそばにいたのが悪い、泳ぎ方を知らないのが悪いと説教する意味のなさに似ています。見ず知らずの相手だからさらに言いやすいのでしょうね。

ちなみに、この二日酔い解消の質問のベスト回答とは、

「冷たい水で洗顔」でも

「温かいお味噌汁」でもなく

生ぬるいお味噌汁で洗顔すればいいでしょう』になります。(笑)

 

意識的や無意識に関わらず「俺のほうが稼いでいる」「私のほうが気が利く」「うちのほうがもっとひどかった(不幸自慢)」などにみられる競争するかのように優位性を示すマウンティング方法や、「そんなのも知らないの?」「知らないだろうから教えてあげる」など相手が下だという前提のもと、相手をおとしめようとするマウンティング方法も自己顕示欲や承認欲求、優越感を満足させたいという自己表現の発露なのだと思います。

つまり、相手をコントロールしたい人、不安感情が強い人、縄張り意識が強い人、虚栄心や自意識が過剰な人などがマウンティングしたがるわけですが、私を含めて多くの人が多かれ少なかれ持っている感情なのだとも思います。

ただ、年齢による上下、勤続年数による上下などもうひっくり返ることのない時間軸の上下においてマウンティングされると面倒ですよね。

これもネットで前に見た内容なのですが、

とある市役所の某部署の窓口対応をしていた若い市役所職員に、60代くらいの初老の男性が「これ!年上のいうことを聞くものだぞ」と、やや理不尽な要求を通そうとしていたら、その若い職員は「少々お待ちください」と言って、その初老の男性より年上の嘱託職員を連れてきて対応させ、ブーメランのごとく初老の男性のほうが年上の嘱託職員の言うことを聞かなければならなくなってしまったという話が興味深かったものです。(そういえば、相手への発言が自分に返ってくる【ブーメラン】という用語もネット用語としてすでに市民権を得て久しいですね)

 

さて、ここからは実際、年上のしかも勤続年数が私よりやや長い男性が最近、私と同じ部署に配属されてきた際のマウンティング話になります。

彼はアフリカから家族でカナダに4年前に移住してきて、永住権はすぐもらえ(そのようなプログラムだそうだ)マニトバで学校に通って、貯蓄がゼロになり苦労しつつも来月には市民権取得のためのテストを受けるという身の上話を一通りしてくれました。

アフリカでは、ソルジャー(兵士)だったと機関銃を打つ素振りをみせ、また趣味は運動で、陸上選手としてメダルをもらったこともあるという自慢の写真をスマホでみせてくれます。

もう、ガンガンに登ってくるという感じです(笑)

1年間くらい働かない期間があり、1月の中旬にカナダグースに戻ってきたとのことで、久しぶりの縫い仕事だそうです。以前は2年以上カナダグースで働いていたようで私よりミシンには慣れているアピールも欠かしません。

でも、新しい部署ではどうでしょう?

少人数のキルティング部署はセミオートの大きなミシンを立ったまま使っているため、座り仕事のシングルニードルとは扱いがちょっと違います。

8時間立ちっぱなしのため、腰や脚を痛める人が多く入れ替わりが激しい部署です。去っていく人が多いから私はすでに古株となって、新しい人が入るたびに教えるという少々面倒な仕事を暗黙裡に任されています。(私も古株だった人に教えてもらっていたから何とも言えないけど)

一方、私には立ち仕事が合っているのか、座り仕事時に悩んでいた腰痛がなくなって快適で、大きなミシンでドドドと重低音のリズムで縫っていくと気分がよくなります。(車よりトラックに乗ったほうが気分がよかったことに気づいたというのに似ているかな?まぁ、トラック運転したことないから知らんけど。笑)

この部署の新人となった彼を教える立場として、伝えなければならないことがあったり、間違ったところを指摘しなければならなかったりするわけでして、彼からしてみれば私がマウンティングを取りに来たと感じたのかもしれません。やがて彼がプライドや反抗心、ルーズさを出してきて「あぁ、面倒くさい」と思ったものです。

言葉には出さなくとも、

「言われなくたってわかってる。俺はお前より長く勤めてきたし、お前より早く縫えるぜ」

と伝わってきて、なぜかライバル心を燃やしながらスピード重視で縫い上げていくのでした。

彼が職場に来て2週間が経った昨日。

なんと、彼は私がいる部署からいなくなることになりました。

辞めたわけでなく、辞めさせられたわけでもなく、上司が昨日、彼に部署変更を伝えていたのが聞こえてきたのです。

なぜなら、彼が縫った部分の布にヨレが多く見つかったり、縫い合わせる場所を間違えていたりと、ほかのラインからのクレームと品質検査員からの直しの要求がブーメランのごとくこの部署に戻ってきて、ラインが滞ってしまったのでした。

縫うスピードより、質を重視したほうが良いということは長年いたらわかるはずなのに……。(あと、もうちょっと教わり上手だったらよかったのに)

おそらく彼はマウンティングしていたつもりが、いつの間にかスライディングしていたのでしょうかね……。

(以下は参考画像:可視化されたスライディングしちゃっている図)

向き不向きもありますから次の部署ではうまくやれるかもしれません。そう祈ります。
(うちの部署はただでさえ人が足りないのに来週(明後日の月曜日)からどうするんだろう?)

 

人は他人と無意識にも比較してしまいがちです。

比較することで自分を高める人もいることでしょう。

自分を高めようとキラキラした写真、セレブ生活をしているような写真をSNSに投稿するような自己顕示欲や虚栄心的な高めかたではない、

自分が納得している自分、比較してようやく定まった自分を投稿していくというSNSの使いかたが10年後の未来には流行っていくのではないかと私は考えています。

つまり、相手から認められる必要がない、マウンティングをとりにいく必要のない、自分の今を愛せる場所としてのSNSが流行っていくのではないかと……。

そのヒントとなった発想は私が最も好きな作家、星新一さんのショートショートストーリーにあります。

それこそ20年以上前に読んだ内容なので概要しか覚えていませんが、

例えば、こんな感じです。

昔、サーカスがきていた臨時催し物会場などで『見世物小屋』というのがあったのをご存じでしょうか。「角のはえた蛇」とか「体毛がオオカミのような男」などの珍しさを看板に書き、好奇心をくすぐることでテントのような小屋に入り、檻に入れられたキワモノを見ることで入場料や見物料を払うという仕組みです。

星新一さんの短編小説では確か、その小屋には一人しか入れず、モニター画面が置いてあるのだそうです。

そして、看板の謳い文句は「この中のモニターには『世界各国の顔を集計して、あなたの年齢や骨格にあった平均的な顔』が表示されます」と書いてあるのです。

好奇心をくすぐられて入場料を払い中に入って出てきた人は、みんながみんな喜んだような顔、納得したような顔で出てくるのでした。

なぜだと思います?

そこには実はSFチックな仕組みがあって、人工知能を持ったコンピューターがモニターの前に座った人に気づかれないようその人の顔をスキャンし、すぐにその顔のデータをわずかにブサイクに加工し、モニターに映すのでした。

「これが平均か?!これだったら俺のほうが断然ハンサムじゃないか」

「惜しかったわね、平均さん。私のほうが可愛いわね」

「ふーん、そんなものか。(内心、ホッとしたわ)」

と思ってもらうようになっていたというわけです。

この物語には、人は誰かと比べてしまうという性質と、大きなデータ数字からの平均という言葉に弱いということと、平均から大きく外れていたら信じないけど、わずかにズレて相手が劣っていると感じるとそのデータを信じてしまう心理などが含まれていて、いかにも星新一さんの社会風刺的な童話作品ぽくて好きでした。

話は戻って、繰り返しとなりますが私が考える新しいSNSとは、このモニターを見終わった人たちのような『自分が納得する瞬間を増やす仕組み』といいますか、自分はこのままでいいんだと思える居心地の良い居場所をネット上に作れるようになれば、自己顕示欲や自意識が過剰になっているSNSの現状が古いパラダイムになっていくのではないかと……。

その他の発想の具材として考えていたのは、

カーミートといって、自分の愛車を同士に見てもらいたいだけに集まる会に参加することで得られる居心地の良さの話や、熱海の旅館を貸し切って行われていた『その人それぞれの人生の達成に対する表彰状授与セレモニー』という認められ方自分への納得の仕方(集大成づくり)に次世代SNSのヒントがあるようにも感じます。

詳しく話さないと伝わらないかと思いますが、この辺の話を居酒屋ですると話が長くなり、私は大変ウザくなります(笑)

しかも飲み過ぎて、次の日は決まって二日酔い。

そして、なぜか顔からみそ汁のにおいがしてくるという……。

 

あなたにとって「ついついマウンティングしてしまうこと」や「自分で自分を納得させる方法」はありますか?

 

それらの話を肴に今度、一緒に飲みましょう!。(味噌汁、用意しておいてください!)

 

2月も引き続きあなたにとって良い月になりますように。

 

それでは、また。

 

(↓これが2月3日で47歳を迎えた平均以下の人間の顔です。ご安心ください)

髪の毛なんて平均以下というよりゼロベースだからね。誰も滑って登れないよ。笑

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