カナダ・ウィニペグで就活中の50歳。カナダの就活の実録。その1

今年2024年はレイオフされて失業手当をもらい、手に職をつけるために溶接と製造の職業訓練センターに通いながら就職活動をして……と、激動な一年だったように感じます。

50歳で就活。

しかも英語圏で。

あなたでしたらどのように感じますか?

さて、今回は、カナダ・マニトバ州ウィニペグにおける就活について(その1)や私の就活実体験(次回のその2で)について書いてみようと思います。

職業訓練センターには専属の就活カウンセラーがいます。ジャネット(仮名)という肝っ玉母ちゃんのように厳しくも優しい先生です。

職業訓練プログラム履修の3,4か月目になると、履歴書(以下、レジュメ)やカバーレターの効果的な使い方や、面接(以下、インタビュー)の練習、その他、オンライン上の溶接や製造に関する求人のリアルタイム紹介など、会議室に私たち生徒を集めて毎週のように講義をしてくれました。

まず、私たちの経歴をまとめてくれて、職業訓練センターで毎年使われているひな形の履歴書に私の経歴を当てはめていってくれます。

以下の写真のように、この職業訓練センターで習ったことや技術を習得したことがまずハイライトとして箇条書きされているのが面白いですよね。

(この下に続くのが学歴と職歴・ボランティア活動歴で、レターサイズというA4サイズに似た用紙の大きさ一枚に収めてあります)

レジュメを送る職種が溶接か製造と限られているからこそ、即戦力として働けることをこのようにアピールしたほうがよいというわけなのです。

カバーレターを書く際も、求人されているポジションにいかに自分が適合しているかを、これでもか!というくらいアピールすることを教えてもらいました。

例えば、こんな感じの出だしです。

Dear Hiring Manager,

I am writing to express my interest in any entry level positions that may be available with your company in the MIG/TIG/Stick Welding/Fabrication/Shop Helper/Machine Operator/Manufacturing/Polishing/Grinding/Production areas at your company.

I am preparing to graduate from Winnipeg Industrial Skills Training Centre Welding & Fabrication job creation program. I need to find employment to receive my certificate, which is part of the program. I have been trained in MIG Welding, Oxy-Acetylene Torch Cutting & Fabrication. I received an introduction to TIG & Stick welding and was able to build a toolbox in fabrication as well as help in manufacturing several custom orders that WISTC received.

『トレーニングと同時にお客様からオーダーされた仕事を任されるという実務経験もあります』ということもさらりとアピールできる良いひな型を使わせてもらっています。

6か月のプログラムですが、先生からは

「平日毎日8時間も現場に即したトレーニングをしているため、『1年間の経験』相当と謳ってもいいわよ」と言われました。ありがたいことです

ネットの求人でオンライン申請をする際にたまに携わってきた年数の質問があるため、この1年と答えることができるのは有利に働きます。有利といえばCWBという溶接の資格試験を無料で受けさせてもらい、その資格を武器にすることもできるのです。(私は資格が取れませんでしたが)

 

レジュメとカバーレターが出来上がったら、次はインタビューの練習です。

企業からのお決まりの質問

「Tell me about yourself(あなたのことについて聞かせて)」にはどう答えたらよいのかとか、

「なぜこの仕事、わが社を選んだのですか?」

「期待する賃金は時給あたり何ドルか?」

「なぜ我が社はあなたを雇用しなければならないのでしょうか?」

「最後に何か質問ある?」

など、ほかにも10問ほどの想定される質問への自分なりの答え方を鍛えてくれました。

ちなみに、「Tell me about yourself」の質問には、自分がどのような人物なのかを生まれや育ちと同時に、例えば趣味や家族との時間の過ごし方などで説明するとよいとのこと。ここであまり前職の経験をごり押ししなくて、あなたの人柄を前面に出すほうがうまくいきやすいのだとか。

「へ~君ってキャンピングが好きなんだね。どこのキャンプサイトが好き?BBQではどのお肉焼く?」というように一気にフレンドリーになる場合や、お互いの共通の知人がその時に判明するなんてことがあるなど化学反応が期待されるそうですよ。

「期待する賃金は時給あたり何ドルか?」という質問は欧米らしい商慣習なのかもしれません。たいていこの質問を聞かれるそうですが、私はこの質問が一番嫌いです。だって、多く答えたら生意気だと思われるかもしれないし、謙虚に少なく答えたら最低賃金からスタートになりそうだし……。「御社の求人広告に書いてあった範囲を期待しています」とか「この職種のエントリーレベル(初心者レベル)の平均賃金を期待します」と伝えるか、自分で平均賃金を調べてその賃金より数ドル上を期待値として伝えるということもあるようです。

「なぜ我が社はあなたを雇用しなければならないのでしょうか?」というのは少々意地悪な質問ですよね。ここで以前の自分の経歴をつなげてアピールしてもよいですし、ただ一言「(Because) I am a hard worker.(私はまじめに働きますから)」と伝えるという方法もあります。詳しくは面接テクニックなどのサイトを参考にするとよいでしょう。

「最後に何か質問ある?」と、これまたほぼ間違いなく聞かれる質問には、2個以上答えを用意しておきましょうと言われました。例えば「この会社にはベネフィット(福利厚生)がありますか?」とか「このインタビューの次のステップ(例えば実技テストなど)について教えてください」、「この仕事で最もチャレンジできる側面は何ですか?」「レイオフは最近ありましたか?どのくらいの頻度であるのですか?」などなど、質問の引き出しを持っておくとよいようです。

私たち生徒同士で、どちらかが面接官役になって練習をし「自信がつくまで繰り返すこと」を徹底されました。インタビューで緊張しないコツは、この練習を何べんもやって相手の質問に自信をもって答えられるようになることだと強調していたのが印象的でした。逆に言えば、この面接練習で自信が持てないうちはチャンスをふいにする恐れがあるので、インタビューに自信を持てることこそが就活の肝なのかもしれません。

 

レジュメやカバーレター、そしてインタビュー対策が整ったら、実際に求人に対して応募していきます。

Indeed.caというサイトで申し込むことが多かったです。Kijijiやフェイスブックから申し込む人もいるそうですが、情報がアップデートされていなくてすでに求人が終わっていたり、詐欺につながるような事例があったりするので注意が必要です。

私は溶接・製造関連で30件以上、オンラインでレジュメを添付して応募してみましたが、次につながるような良い返事は一軒もありませんでした。

同期30人近くがほぼ同じ職に申し込んでいるため競争率が高いと思っていますが、聞いたところによると一つの専門職のポジションに200件以上も応募があると聞いてその競争率の高さに驚きました。

まったくその職と関係ない人や職歴がない人もダメ元で応募してくるわけですから母数が多くなるのはわかります。やはり職歴を長く持っている人や、コネ・伝手がある人が有利になっています。

オンラインで申し込んでも反応が悪いとジャネット先生から教えられているため、プログラムの5か月目からは毎週水曜日は直接訪問の日となっていました。プリントアウトしてくれたレジュメを持って、一日約10件くらい車で巡るのです。(吹雪やマイナス25度の時もあってつらかった)

最初はドキドキしますが、会社側もレジュメを受け付けるのは慣れているため「それじゃ、なんかあったら連絡するね(←なんかあることなんてないと思ったほうが良いw)」と、レジュメだけは受け取ってくれます。

十数軒回っていると不思議に「あれ?ここの雰囲気いいぞ。自分に合っていそう」と感じたり、一方で中に入る前から「ここは近寄りがたい雰囲気だな」とレジュメをポストに入れるだけだったり、というところもありました。

ジャネット先生も「さぁ!自分を売り込みに行っておいで!」と発破をみんなにかけてくれていたように、つくづく就活とは自分を売り込むための営業なのだと実感したのでした。(だからこそ直接会うほうが有利)

 

実感したといえば、自分の名前。

私は青木和広ですから「Kazuhiro Aoki」という名前表記がレジュメにかかれるはずです。

しかし、ジャネット先生は

「ごめん、このKazuhiroはカナダ人(欧米人)にとっては読みづらいわ。なにかイングリッシュネームはないの?」と聞いてきました。

続けて、会議室にいるみんなに

「名前についてちょっと話があるわ。もちろん親からもらった大切な名前だし愛着があるのはわかるけど、就活を生き残るという側面で考えると変えたほうが絶対に有利よ。私の知り合いのベトナム系の娘さんはすごく明るく、頭も器量もいい子なのにいつまで経っても就職できなかったの。不思議に思ったその知り合い親子が私に相談しにきたってわけ。私がその子のレジュメを添削した際、その子の名前が読めなかったから変えるように指示したわ。そうしたらすぐ受かったって話。この子のケースだけでなく、カナダ人でプライドの高い事業主が、読めない名前のレジュメを読むと思うかしら?僅差でどちらにしようか迷ったときには読みやすい名前を選んでいる事業主は実は少なくないのよ」と力説しました。

ベトナムではよくある苗字Nguyenって、なんて読むと思いますか?

グエンって読むそうですが、この苗字プラス、もっと読みづらい名前があったらカナダ人事業主がどう思うかってことをハッキリと言えるジャネット先生はメンタルが強いと感じました。それもこれも生徒たちにマニトバ州で就職してもらいたい一心だからなのだと思います。

同様に、就活中の同期でFKREという名前のアフリカ系の男性がいます。

フックレと読むのですが、彼も読みづらいためレジュメ上での名前を選ぶように言われていました。ダニエルと英語名を採用したのですが、彼は不満顔で「FKREは愛という意味なのに」と自分の名前を変えたくないようでした。しかし、ダニエルに変えてから本当にインタビューまで進むことができたのです。

つまり、カナダで就職したければレジュメ上の名前まで変える覚悟が必要だということを学びました。(変えろと言っているわけではないですよ、念のため)

ジャネット先生に「Kazu」だったら大丈夫でしょうか?と聞いたところ、

「昔、カナダのSFアニメの登場人物にKazuっていうのがいたから大丈夫だと思うわ」とのことw。

それからKazuと履歴書に書くようにして、毎週求人に申し込んだり、ファブリケーション(製造)の会社をしらみつぶしで廻ったりするようになりました。

そうして、ようやくインタビューの段階まで行けるようになりましたよ(やったー!)。

次回では、インタビューまでやインタビュー後などを実録として詳しく書いてみたいと思います。

それでは、また。

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