今日から2週間の夏休み。長期休暇前の職場って妙にテンション高くないですか?
今日から会社が決めた2週間の工場閉鎖のため強制的に夏休みにはいります。(有給じゃないのは悲しい)
昨年の夏はこの工場閉鎖という長期休みがなかったため、今年もないだろうと思って春に日本への一時帰国チケットをとって1か月休んでしまいましたから、夏に強制休暇があると知っていたらその時にあわせて一時帰国を予定しておけばよかったと思って・・・いや、あの蒸し暑い夏に日本で過ごすのはもう耐えらそうもないから、やっぱり春に一時帰国しておいてよかったですw
さて、今回はその長期休暇前の職場のお話。
カナダグースはジャケットばかり作っているのだと思ったら、私の働いている工場ではウエストポーチも作っていまして、私はウエストポーチのベルト部分を職人のように作るようになっています。
あまりに早く上手く作れるようになったため、
「いいね~。Made in Japan(日本製)て感じ」と品質管理者がジョークで褒めてくれましたw
勤務歴4年目になってきたからか、他のスーパーバイザーにも覚えてもらっていて、
「あのジャパニーズの彼、うちのラインに2時間貸してよ」
「今は、うちのラインで借りているから貸せないよ」
なんて会話が聞こえてくるようになりました。(←歌手の河合奈保子の「けんかをやめて~♪」が頭の中でかかってきたw)
ちょうど、この長期連休前で人が少なくなってしまったためというのもありますが、3つのラインからお声がかかるというありがたいというか、面倒くさいwことが起きていたのです。
新しいラインで得意のベルトを作るヘルプなのですが、いつもと作り方が違うため、今現在作っている人に教えてもらうことになります。
その教えてくれた人がステラおばさんのような風貌をしたウクライナ人。
多くのウクライナ人がカナダグースの工場で働くようになっていますが、彼らの強さは英語がたとえ通じなくてもマイペースなところ。
私に縫い方を教えてくれる時も、
「This, This and This.(これにこれをして、これするのよ ←意訳)」
と、最低限の英語しか使いません。
不思議とこれが理解しやすくて、すぐに覚えられました。
しかも、その後、私がきちんと縫えているか見に来てくれて、グッドサインのジェスチャーをしてくれたり「スーパー」と褒めまくってくれたりと、めちゃくちゃ良い人でした。
カナダグースの良いところは英語が話せなくてもミシンが得意だったら受け入れてもらえるというところなので、居心地の良い人は移民者に多いと思います。
一方で、ウクライナに帰る人もちらほら。
2週間の工場閉鎖による夏休みに入るのを機に、隣のラインのウクライナ女性はウクライナに戻ることに決めたそうです。ラインを去っていくにあたって、同僚たちが彼女のためにカンパしたお金を渡していました。
今年の10月からウクライナ人が永住権をとるための新たなパスウェイができるにも関わらず、この時期に帰るということはどういうことなのだろうと考えてしまいます。
しかし、彼女がいうには「ホームシックが酷くなり過ぎて、ただ自分の生まれ故郷に帰りたくなった」とのこと。
故郷を離れた人ならわかるかと思いますが、この熱病のようなどうしようもない「故郷への憧憬」は、心に火がともると扱いに困りますよね。しかも、いまだにウクライナは戦火にあるわけですから穏やかではいられないことでしょう。これからの彼女と彼女の家族の無事を祈っています。
連休前の職場は、人手不足でイライラしている人もいれば、一方でもうすでに心はバケーションになっているのでしょう、ハイテンションな人たちも見受けられます。大声で私語を続ける人や歌ってしまう人まで、本当に賑やかw。
フロアマネージャーのマークがいつものように冗談ぽく注意をしています。
「ヘイ、Guys!ちょっとうるさすぎやしないかい?耳が痛くなるよ!」
「縫もののことを話しているんだからええんやで」
肝っ玉おばさんたちは、さしずめ大阪のおばちゃんたちのよう。(それを注意しなければならないマークも大変だ)
まだうるさくしゃべっているため、マークは自分の手を耳に押しあてて
「あれ?ちょっと待って、聞こえない」
と、耳がおかしくなっちゃったアピール。この聞こえないアピールだけでも笑いがとれるマークは演技派です。
「ほら、あまりにうるさすぎて僕の鼓膜がやぶれちゃったじゃないか!」
と言ったら、おばちゃんの返しがすこぶる大阪的?でした。
「ほな、もってきーや。やぶれた鼓膜、縫っとーたるさかい」
だってw。(↑本当にこのように私の頭に翻訳されるから不思議ですw)
しばらく笑い声がうるさすぎて、私の鼓膜も破けるところでしたよ(どうやって縫うんかいな!w)
最後は一昨日、久しぶりに怪談を聞いたというお話。(前回の職場の幽霊話はこちら)
いつも業務用の大きな掃除機を使ってフロアを清掃してくれるスタッフがいるのですが、私が使っている大型ミシンの周りを掃除してくれた時に、珍しく私に話しかけてくれたのです。
「ねぇ、この階のランチルームに何かがいるって話、聞いたことある?」
「へ? 何かってネズミとか虫とか?」
彼は初老の白人男性で、表情が豊かな人ではないため、冗談なのか本当なのかわかりづらいのです。彼は続けます。
「僕がさ、ランチルームのいつもの席に座って、うつむきながらスマホをいじっていると、ふいに眉毛の上あたりを小突かれたんだよ」
「え、誰がやったの?」
「それが、誰もその場にいないんだ」
確かに彼は清掃員だから私たちとは違う時間に一人で休憩しているときがあります。彼がいつも座る椅子は私も知っていますが、誰かが前から小突いて隠れられるような場所ではなく、何かを投げて彼のまゆげあたりに当てさせるのは無理な場所なのです。
「またまた~。夏の怪談ってこと?ただの勘違いじゃない?」と私が言うと、
「僕も勘違いだと思っていたんだけど、先週の土曜日、誰も縫子さんたちが出勤してこない日、ここのセキュリティーが見回りのためそこのランチルームに入ったら、誰もいないのにマイクロウェーブ(電子レンジ)のスイッチが入って動き出したって話を聞いたから何かいるんだろうと思って……」
ひ~!
(「なんちゃって」っていつくるの?オチは他にあるんだよね?)と思いながら、彼の言葉を待つのですが、相変わらず冗談なのか本気なのかもわからない表情で、掃除機の電源を入れて次の作業に入ってしまいました。
私は仲の良い同僚にその仕入れたばかりの怪談を話すと、
「僕も昔に聞いたことがあるよ。誰もいないのにハッピーバースデー♪トゥーユー♪の曲がランチルームで聞こえてくるだとか、給水機が勝手に水を出して床を水びたしにしただとか」
どうやらよくある話のようで、やっぱり何かがいるのでしょう。
もしかしたら、2週間工場を閉鎖するって、実はその間、霊媒師や除霊師を呼んで何か儀式をするのかもw。
それでも除霊できなかったらやがて『やぶれた鼓膜を自分で縫っているお化け』なんてものを見る日が来るかもしれませんよねw。
そして、気づかないうちに私の耳の鼓膜にも「made in Canada」といずれ印字されていたらと思うとちょっとゾッとしますw。
あれ?
この連休前に一番、ハイテンションになっているのって私かも?w
来週からキャンプ三昧で楽しんでいきたいと思います。
貴方も素敵な8月をお過ごしくださいね。
それでは、また。