物語の書き方、読書感想などを子ども達がリモート授業で習っています。
今日、2020年11月15日(日)のウィニペグの日の出は7時42分。日の入りは16時43分で、だいぶ日照時間が減ってきたと感じています。(ちなみに最高気温はマイナス4度、最低気温はマイナス11度となっています)
最近、子ども達の小学校はリモート授業となっているため、子どもの隣で授業を聞いています。
小学4年(グレード4)の娘の昨日の授業は「この写真をみて自分でストーリーを作ってみましょう」という授業でした。
写真にはビーチに大きな人間の足跡に似せて作ったくぼみが本当に歩いていたような間隔で並んでいます。その近くに男性が立っていて、その砂に作られた足跡に比べて人間が小さく見えるという構図になっているのです。
「巨人の足跡を発見して驚いている男性」の話にするか、
「さっきまで巨人だったのに元に戻った男性が写った写真」という物語にするか娘は悩んでいました。
どのようなストーリーにするか。
いや、どのようにストーリーにしていくのかということをこれを機会に娘と一緒に考えました。
小学2年生の息子はリモート授業で、毎回リーディング後(課題図書の読了)の感想「どのような内容だった?」を聞かれるのですが、答えられません。
私は最初、息子の英語力が充分ではないから読書感想を伝えられないのかと思っていました。でも、何日か一緒にリモート授業を受けているうちに、彼は日本語でもどのように感想や意見を言ったらよいのかわからないとのことでした。(先生が「日本語でパパに伝えてもいいのよ」と促してくれました)
リモート授業は一対一ですから「何かしら子どもから先生に伝えさせないと」と外野から親目線で思ってしまい、子ども達にもっと「相手に説明すること、伝えること」を頑張ってもらいたいと欲が出てきてしまったのです。
この場合、どうすればよいでしょうか?
ただ、闇雲に「もっと具体的に上手に伝えなさい」といったところで効果がありません。
そこで、ある程度のテンプレート(ひな形)があれば伝えやすくなるのではと考えたのです。
娘の「写真を見てストーリーを作る」ことも、息子の「読書感想を伝える」ことも相手に説明するためには、
例えば、
いつ、
誰が、
どこで、
何をしたか。
というような5W1Hというテンプレートをもとに説明すると効果がありそうです。
さらに、私が小説執筆を趣味にしているため、小説を作るにあたって大切にしている要素、
『葛藤』(苦悩と成長など)
をテンプレートとして盛り込むという方法もあります。
例えば、王子様が囚われているお姫様を助けに行くというストーリーは昔から各国に多く存在していますが、その葛藤の内容が「お城の前にドラゴンがいて」「自分の劣等感を克服して」などで脚色・演出されてストーリーがストーリーらしくなっていくのです。
リモート授業で、学校の先生もやはり同じように教えてくれています。
「まず、読んだ本の中の最も大きなPROBLEM(問題)を挙げましょう。そしてSOLUTION(解決)が何なのか、どうなったかを話すと、読書感想になりやすいわよ」
息子には難しかった「ただ感想や意見を聞かれる」という段階から、「問題」と「解決」を説明すれば読書感想になるかもという指針ができたことで息子は次の一歩が踏み出せるようになりました。
そう、たいていの物語は、人生の問題や苦悩、そして解決やふさわしいエンディングが含まれています。
本を読むということは自分以外の人生に触れ、一部を自分の経験や知識にでき、そしてそれらを自分が物語を作る時、人生を歩んでいく時に応用することができるわけです。
「なんてお得なんだ!」とつくづく私は思うのですが、子ども達が果たしてどのくらい「物語」というものと向き合ってくれているかまだ微妙です。
さて、
話は少しそれますが、以下の写真の人を知っていますか?
『人間の絆』という小説を1915年に発表したサマセット・モームというイギリスの作家です。
人間とは何かをシニカルにとらえ、人生とは無意味だと語るようなメッセージ性に好き嫌いがわかれるかもしれませんが、物語のとある1シーンは以前から私のお気に入りです。
***以下、勝手ながら概略***
ある国の王様は政務に忙しい中でも『人間の歴史』が知りたいと思い、とある賢者に命じて500巻の書物を集めさせ、さらに要約させようとしました。
20年経って賢者は50巻にまで要約することができたのですが、読む気力がなくなってきた王様から「もっと縮めてくれ」と命じられました。
さらに20年後、ようやく1冊に縮めた本を王に届けようと賢者は杖をつきながら宮廷に行くと、王様はすでに臨終の間近でベッドに横たわっていました。
はたして王様の耳はまだ聞こえているのでしょうか。賢者はその場でその一冊の本を一行にまとめて王の耳元でこうささやきました。
「人は生まれ、苦しみ、そして死ぬ」
****ここまで****
このあとの記述は人生の無意味さを説いているのですが「人生に特別な意味を見出そうとせずに、もっと気軽にその時々の苦しみと向き合いながらなんとか生きていけばいいんじゃないの?」とも捉えることができます。(←心が楽になった、人生を気軽に考えられるようになったという感想を持つ人もいました)
「人は生まれ、苦しみ、そして死ぬ」
煎じ詰めればそんな感じなんでしょうね。
でも、面白いのは「人は生まれ、そして死ぬ」ではないところです。
「苦しみ」というスパイスが人生を人生たるゆえんにしているとも言えそうです。
苦しみは例えば、外的要因(環境や他人から)、内的要因(自分の思い込み等)に分けらますし、解決できるものとできないものにも分けられます。
そして、苦しみは言い換えてみると、人生の【問題】だったり【葛藤】だったりするわけです。
【問題】のすぐ隣には『失敗』や『解決』があることでしょう。
【葛藤】のすぐ隣には『成長』や『諦め』なんていうこともあるかもしれません。
「人は生まれ、何かしらの問題を常にかかえ、それらを解決しようともがきながら、死ぬ」
「人は生まれ、葛藤しながら、死ぬ」
言い換えてみると、どれも的を得ているような気がします。
さてさて、子どものリモート授業の話に戻りますが、「ストーリーを作る」や「リーディングした本の感想を述べる」という授業内容があったら、上述したような5W1Hを使う方法や、【問題】や【葛藤】を物語の中に見つけて解決やエンディングを話す方法が効果が出るのではないかということを言いたかったわけです。
もっと噛み砕いて、
「ある国の王子が途中でいろいろあったけど王女を助けた話」とかいうのも「苦しみ」だけに焦点を当てない方法として使い勝手がよさそうですよね(笑)
つまり、「〇〇が途中でいろいろあったけど××した話」というのもテンプレートとして使えるのではないかと……。
その「途中でいろいろあったというのがいかにハラハラドキドキさせるか、いや別にハラハラドキドキとならなくても、いかに感動や共感、納得を得られるかでストーリーの質が決まる」
と言っても過言ではありません。
子ども達にはこれからもたくさんの葛藤(成長)、問題(解決)、そして途中でいろいろあったを経験してもらいたいです。
そして私自身、【子ども達の人生】という素晴らしいストーリーに多少なりとも携われたということに感謝しながら死んでいけたらと思っています。
と言っても、まだまだ死なないつもりですけどね。(←いろいろあり過ぎて死ねない。笑)
明日もあなたにとって、いといろとある良い日となりますように。
それでは、また。